アリス・イン・ワンダーランド −1973年九龍城砦−
龍城路をまっすぐに進むと光明街に行き着く。
光明街はヘロインの街だ。昔のアヘン窟で、中毒者のために常に蝋を切らさなかったことが由来である。
今や白昼堂々屋台でヘロインを売っている。
通りには娼婦が立ち、黒社会を牛耳る三合会が幅を利かせている土地でもある。
電線と配管が頭上で走る日中でも日光が届かない路地を歩くと、ねずみが横切り、今度は空から降ってくるごみに紛れて空の注射器を踏むことさえある。
低層階は住人達でさえ顔を背けるほど臭いが立ち込める。道端でぶっ倒れている人はオーバードーズなのか、それともこの臭気にやられたか。
そんな素敵な夢のような路地裏で気功施術をする店を私は開いていた。
当然私は気功なんて習ったことは一度もない。
ただ気功の下地となる陰陽五行も、考え方が少し違うだけでこの世界でいう魔術みたいなもんだと思う。
日文(日本人)の観光客に聞いたところだと、彼の国では陰陽五行と密教からインスパイアされた陰陽師なる魔法術師がいるらしい。先の戦争でも陰陽師を主体とした部隊などもいたのかもしれない。映画で知ったがあそこにはニンジャもいるんだろ。そりゃ強いわけだ。
後の敗戦を考えると、戦争後期に大本営が扱いきれなかったか、前時代的だとレッテルを貼られて閉職に追い込まれていたかのどちらかだろう。突出した力は権力側から疎まれ袖にされる。よくある話だ。
まあ、かく言う私も魔術体系を前の世界でしっかりと習得してきたわけではない。貴族のたしなみとして齧った程度である。今やっていることはその真似事に近い。
とはいえ、路頭に迷った乞食からパチモン気功師に転職できたのだからこの際贅沢は言うまい。
「陳先生!」
陳志源は私の俗名だ。
文革で労動改造所に入れられたあと、土砂崩れが起きたのを機に逃げ落ちた私は、流れ流れて香港のスラムに行き着いた。
九龍城砦は国共内戦や大躍進政策、続く文革で落ち延びた人たちで膨れ上がった場所だ。
もともとは難民がバラックを立てて住むようになったのが発端だが、上記の事情から小さな区画に大量の流民がなだれこんだため、無計画に人が住む場所は上へ上へと伸びていった。
また香港政府の行政権が及ばない地域であったため、違法建築も売春もヘロインも、それこそやりたい放題であった。
「陳先生!前にお願いしていた人を連れてきたよ」
阿文魁は上海流れの元・青幇で、裏も表も顔が広い。
もう老年に入っている筈だが、背筋が伸びていて余計な肉を付けていない。
朗らかに笑う人物で、一見温厚そうにみえるが、目の奥は決して油断していないことが分かる。
細い銀縁の眼鏡をかけて、思案に耽る時はトレードマークのベストから年代物の懐中時計を取り出して、開いたり閉じたりするのが癖だ。
時計は上海時代に大世界で英国軍人から(彼曰く)譲り受けたという。
情が深いし、彼がやっている仕事ほど悪い人物ではないのだが、ここに来るときはだいたい厄介ごとを一緒に持ってくる。
「身に覚えがないけど、あんたが言うならそうなんだろう。これ以上厄介ごとは勘弁してほしいけど」
「俺をそんなふうに見てたのかい?傷つくよなあ。先生は黒龍江出身なのに寛大さに少し欠けるところがあるよな」
哈爾賓はロシア革命で逃れてきた白系ロシア人が住んでいたし、その前には帝政ロシアから逃れてきたユダヤ人も多く住んでいた。なにより彼の悪名高き傀儡国家、偽満州国があったところだ。歴史的にも他民族共生を謳っていた土地だったからと言う理由で、理解がある。心が広いと思われているだろうか?文革を通ってきた身として、そんなものは幻想だと断言できる。
なんなら本来生前は気位が高くて不寛容で有名な、ラルキア帝国ヴェルべコフ出身である。
実際私個人としては、そちらの気質のが残っているのかもしれない。
しかし、改めてそう言われてみると転生前の自分とは性格もだいぶ変わってきているように感じる。
生前の自分は、陳志源という自分に徐々に馴染んできているということだろうか?
阿の後ろから、ハンチングを被り、ティアドロップサングラスにマスクをした男がのっそりと入って来た。
「どうやら奴さん原因不明の頭痛に悩まされていてね。先生の力を借りたいんだ」
紹介された男は帽子とサングラスを取ると頭を下げた。
私はその男を知っていた。むしろここで知らないと答える人間を探す方が難しい。
「……し、小竜、ここはあんたが来るようなとこじゃない」
近くて遠い九龍塘に住んでいるとはいえ、ここは世界的スーパースターが簡単に足を伸ばしていい場所ではない。
◇
「で、結局先生の力でも直せないのかい?」
阿は小竜を九龍城砦の外まで見送ってから、診療所に戻って来て尋ねたのだった。
「そもそも医療気功は体内エネルギーの気を整えるのが目的で、全能なわけではないよ」
阿は今まで連れて回復させてきた者たちを羅列し、私を不世出な人物だと持ち上げる。
とはいってもな、やっぱり厄介ごとだった。しかも飛びきりぶっとくて濃いやつだ。
小竜に掛けられていたのは呪術だった。
しかも私が元いた世界の言葉で術式が編まれていた。
いったいこれはどういうことだろう。
普通に考えれば、私の他にこの世界に転生した人物がいて、小竜に対して呪術をかけた者がいるということだ。とてもわかりやすいロジックだが、自分の他に転生者がいる可能性など考えたことなんて無かった。
私がこの世界で仏僧になった理由は、釈迦が説いた言われる輪廻転生という概念に強く興味を持ったからにほかならない。
彼が語った論理は固定的な自我は存在しないということだ。
これはどういうことかというと、転生するのは魂ではなく因果の連鎖によって次の生を条件づけるというものだ。
生まれ変わる中身が存在するのではない。あるのは行為が次の状況を作る流れだけ、ということである。
そうであれば私が前生の自分を自分であると自覚しているのはおかしい、ということになる。
魂が移動するのではなく、因果という記号が次の生を決めるのであれば、私と言う概念は不文律を乱す存在ということだ。
だがそもそも輪廻転生の概念を唱えたのは別に仏教なのではなく、本来バラモン教らしい。古代インドでは比較的ポピュラーな考え方だったようで、仏教も実はそれに乗っかって自己解釈しただけにすぎない。
とまあ、調べれば調べるほど深い森に迷い込むような感覚があった。
「これではまるでアリスの世界に迷い込んだみたいじゃないか」
感情が思考の中で叫んでいる。
「言葉の意味は、私が決めた通りになる。それ以上でも、それ以下でもない」
うんうん。そうそう。
ハンプティダンプティの言葉に意味なんて求めてはいけない。
ひとしきり自分の考え方に没頭していると、目の前の阿が私の目を覗き込んでいた。
懐中時計をゆっくりと開閉している。
「先生、実はなんとなくわかっているんじゃないかい」
私はそれに答えず、彼の目を覗き返した。
「これでも戦前の大世界で、ここ九龍城砦でも、色んな人物を見てきたつもりだ。その俺の直感からすれば先生はなにかに気づいている筈だ。だが手の施しようがないというのも、あながち嘘でもなさそうだ。これでも先生には恩義を感じているんだぜ。余計な詮索をするつもりはないが、見立てとしては実際どうなんだい?」
「…………おそらく、持ってあと半年だな」
「それは予想より悪いな。確かかい?」
手を広げて応える。
「そうか、ぎりぎり撮影は間に合うか……小竜も今回の作品には熱が籠っていてね。おそらく彼の最高傑作になる筈だ。いやしかし義侠心の強かった杜月笙兄貴の晩節も、多くの恩知らずが離れていったよ。結局、栄耀栄華に預かりたくて尻尾を振るやつらばかりだと思ったね。まったく義も通せないなら、世の中理不尽ばかりじゃねえのかい」
まったくだ。
お国のためにと思って犠牲を払って来た。
それでもいつか、自分の行動を正当な評価をしてくれる者が出てくるだろうと信じていた。
それを知る前に道半ばで倒れた。
そして何の因果かここにいる。
− ハンプティダンプティが塀の上に上がった
ハンプティダンプティがころりと転げた
王様のお馬と兵隊さんが
残らずかかっても、ハンプティダンプティを元の場所にはもどせない −
五月蝿いわ。
■◾️◽️
阿が帰ったあと、私は仕事の合間に取る夕食を買いに出かけた。
近くに住む時計屋のおやじに、出かけてくると声をかけて診察所の鍵を閉めた。
地元民にとっては、もはや公然の秘密であるペニンシュラに卸しているという韮と叉焼入りの包子を4つ買い、魚包蛋もついでに買った。紙袋を抱えてサイダーを飲みながらぶらぶらと歩いていると、後ろから肩に手を掛けられた。
「先生、ちょっといいかい?」
三合会の奴らだった。
「今日先生のとこに阿が来ていただろう、そのことで話を聞きたいんだ」
と言うなり元々選択権のない格好で、ダンスホールの奥にある彼らの事務所へと拉致された。
うん。なんかさ、きっとこうなると思ったんだよな。
■◾️◽️
「先生がここ、光明街に居を構えてどれだけ経ったかな?」
「うーん。どうかな、3年と少しというとこだろう」
「この中は三不管なんて言われているけど、住民たちの自治意識は強い。我々も外では制限されるようなことでも、ここでなら警察連中も手出しはできない。まあ、外だって色々と鼻薬を効かせているんだけどね。ということでさ、ここで暮らしていくには我々は助け合わなければならない訳だ。ここまでの話は分かるよな」
私に話しかけている男は周りを囲っているやつらより、少しは上の者なのだろう。
シャツの袖をまくり、サスペンダーをつけて中折れ帽を被って、一昔前のギャングに憧れたような、いかにもミーハーな服装をしていた。
分かるかもなにも少しも論理的でもないし、いいから早く本題を話せと思ったが、これ以上夕飯が遅くなるのも嫌だったので、黙っておいた。
「阿のいた青幇はもともと清朝時には水運業ギルド、そして塩の闇商人だったそうだ。時代の変化と共に職にあぶれた奴らが行き着いた上海で、今度は列強諸国集う租界の地下社会で名をなした訳だ。その青幇の中でも杜月笙は上海の底から身一つで這い上がった誰でも知ってるとびっきりのレジェンドだ。そして阿は杜月笙の側近中の側近だった。
戦中杜月笙は蒋介石にも頼りにされていて抗日運動も担っていたし、国民党軍の資金源となるアヘン・ヘロインを多く用意していたのも杜月笙という訳だ。蒋介石が国共内戦に敗れてからは青幇も一緒に勢力を落としたが、国民党軍の隠しヘロインといえば、ここ香港でも誰でも知っている。どこに隠した埋蔵金ってな。皆血眼になって探している訳さ。共産党の奴らも喉から手が出るほど欲しかっただろう。今では蒋介石も杜月笙も死んで全ては闇の中だが、側近だった阿が最近映画界に手を出し始めた。その資金源は、かの有名な黄金じゃねえかともっぱら界隈で騒ついているって訳さ」
なんだい。大層なうんちくを語りはじめたかと思ったら、噂が本当なら自分たちのヘロインにしたいというだけかい。清々しいほど厚かましいな。
しかしまあ、そんなもんか。
だいたいお前ら三合会も、確か元々は清朝時代に暗躍した漢民族復興の秘密結社だって聞いたぞ。
自分たちを棚に上げてるが、凋落甚だしいのはどっちもどっちだろう。
正直どうでもいいし、私には関係のないことだ。いいかげん腹が減ったからいっそここで買ってきた饅頭を広げて食べてやろうかと思った。
「ということでさ、これから先生には阿の行動を逐一報告してもらいたいんだよ。ここでこれからも商売を続けるならね」
どうも脅しが上手くなくて、イライラする。
人を動かすには恐怖だけでは足りないのだ。相手の首を縦に振らせたいなら同時に利益を相手に提示させてやることだ。
逃げ道を本当に無くした者は本能的に離れてしまうが、すがるものがある者にはその選択を手放す事は難しい。
まあ三下ほど、くどくどと語りたがるものだ。喋っていないと不安なんだろうな。自分に酔って本質を見誤ってりゃ世話ないわ。
「それで仮に断ったら、どうなるのかね」
言ったそばから周りのモブ共が殺気だった。
「先生、聞き分けの悪いこと言うのはよしてくれ。これでも中の住人とは俺らも余計な揉めごとはしたくないんだよ」
ふんっ。よく言うわ。
「小竜の件もあんたらと関係があるのかね?」
目の前の男は手に持っていた銃で頭をぽりぽりと掻いて乾いた笑いを見せた。
「先生に明かす義理はないんだけど、まあいいだろう。実は映画界にも我々は深く食い込んでいてね。手に手をとって一緒にやってきたわけだ。しかしそこで新しく阿が出資した制作会社が独立して立ち上がった。そこでアメリカにいた小竜を抜擢してご覧の通り空前のヒットとなったのは承知の通りさ。ただ親に義理を果たすのが子の務めだ。もう自立しているからといって親子の礼を損ねてならないってのは先祖代々我々の血に刻み込まれている。そういう世の中にしてはならないと思わないかい?そうだろう?」
大陸じゃ、もうそんな世の中になってるぜ。
「解せないのは、今回日本のヤクザも絡んでいることだ。龍頭の繋がりだから無下にもできない。まあ、それこそセンセには関係ない話だけどな」
自重気味に話していることを踏まえると、納得いっていないのだろう。
若いな。
目の前の男は他の構成員と比べてもインテリなのは確かだ。
でも理解があるフリをしながら、才気が走って我慢ができないタイプなんだろう。
まあ、わかるよ。バカが嫌いなのは私も一緒だ。
でも同じ土俵で騒いでいるなら、そのへんのバカとたいして変わらん。
まず自分の意見を聞き入れてもらいたいなら、前提を築かないとな。
責任が伴わない場所でいくら吠えても自分の価値を下げるだけだぞインテリくん。
しかし日本か、、、なんだか変な話になってきたな。
九龍城砦の空を覆い尽くす旅客機が轟音を立てて窓を揺らしてる。
丁度おなかの音が永遠の刹那を奏で始めたが、ジェット機音を上回ることがなかったのは、せめてもの救いである。
「アイヤー!陳先生!こんなとこにいたのかい?ダメだよ。お客さんお店の前でずっと待ってるよ」
ドアが開かれて声がした方を全員が振り向くと、中年のおやじが立っていた。
目を凝らすと近くに住む時計屋のおやじがいた。
彼の技術力は素晴らしく、正規パーツの製造を受け持つ工場から直で横流ししている部品を使い、本物よりも本物そっくりに仕上げる魔法で、香港ロレックスという世界をあっと驚かすブランドを築き上げていた。
「んだてめえ!勝手に入ってきやがって」
モブAが叫んで凄むと、おやじさんはそれを無視してツカツカと前に歩き始めた。
モブたちは一斉に懐に手を入れたが、それよりも早く間合いを詰めて彼らに功夫を見舞って気絶させた。
インテリが驚いて拳銃を向けると同時に回し蹴りで拳銃を落とし、インテリの顎に掌底をかまして伸した。
「で、こいつらは何の用だったんだい?」
あなどるなかれ、この中では時計屋のおやじが小竜顔負けの大立ち回りをする世界なのだ。
「知らんよ。包子食うかい?」
■◾️◽️
「陳先生。どうやら迷惑かけたみたいだな。いやすまなかったね」
「まあ、別にいいさ」
阿は特に悪びれることもなく、淡々と切り出した。
おそらく阿自身本当に大したことではないと思っているのと、私が同じようにそう思っていることも分かっている態度であった。
「先生に折り入って話があるんだ」
そう切り出されて良いことがあったためしは、どの世界においても存在しない。
こちらが嫌だと言う前に阿は自身の皮膚を脱ぎ捨て始めた。
梱包した商品を取り出すように阿の中から現れたのは、同じ背丈だけあるカエルだった。
目の前に現れたカエルは体の埃を払うような仕草をしている。
ただ、ぬめぬめしている表皮にその行為がどれだけの意味があるのか分からなかった。
「驚かないんだな」
「驚いているさ」
こちらの意思を確認する前に行動を移すその勝手さに、ちゃんと驚いている。
「あれは民国26年八一三事変(第二次上海事変)の時だ。あの男に会ったんだ」
阿だったカエル氏に対して今はなんと呼ぶべきか悩んでいるうちに、唐突に話が始まった。
「先生は黒龍江省というか偽満州国出身だから731部隊のことは少しは知っているんだろう?生物兵器を扱ったあの石井四郎の部隊だ。八一三事変の時にも彼は従軍していたんだよ。抗日工作で日本軍部に目を付けられていた杜月笙は活動拠点を香港に移していて、上海租界の仕事は俺が任されていてね、まあそういうことで戦時下の租界の中で奴に会ったってわけさ」
阿だったカエル氏はそこで煙草に火をつけた。
「最初のイメージは蛇みたいな奴だと思ったね。あの三白眼の目で見つめられると、文字通り蛇に睨まれたカエルのような気持ちになった。ジュネーブ議定書で生物兵器、毒ガスの使用は禁じられていたけど、日本軍が中国革命軍との戦闘で市内で使用していたことは誰でも知っていた。反日感情は最高潮に達していたが、私は租界の中を守るために日本軍部と話をしなければならなかったんだ」
カエル氏は目を細めた。昔を思ってなのか、大きすぎる目が煙草の煙にしみているのかは判断できなかった。
「彼は私をこの世界の遺物であることをすぐに見抜いた。自分も遺物だからだろう。私も彼にあった瞬間すぐに理解した。先生もすぐに分かったよ、当然先生もそうだろうけどさ。そして彼は私に提案してきた。租界の安全を確保する代わりに、私が彼に服従するようにという訳だ。まあ実際にはまだそこまで彼も軍部で力を持っているわけではなかったから、彼のために俺が動いたことはそこまで無かった。彼が上海を離れ、関東軍と満州にいたのは後々知った。戦後に戦犯として問われたが、アメリカに実験データを渡して責任を逃れたこともね。我々は中共戦で国民党軍が敗れてからは香港に落ち延びた。そんなこんなで正直戦争のあれこれはもう忘れていたんだ。石井四郎から連絡がくるまではね」
「そいつの目的はいったいなんだい?」
「世界をひっくりかえすことさ」
同郷者だかなんだか知らんが、それは随分と恥ずかしいやつだな。
あとちなみに、阿が異邦人なんて私はまったく気づいていなかった。
「あいつは、我々の同胞に繋がる機会を探していたんだ。どこでそれを嗅ぎつけたかは知らないが戦後各国中枢に割り込んでいるからね。みな時代を彩るフィクサー達さ。もちろんこちらとて仲間の情報を売るわけにはいかないと突っぱねていたら、小竜を狙われたというわけだ。先生に話を持ってきたのは、こいつは俺の勘だが、あいつと先生はなにか関係があるんじゃないかと思ったんだ。どこか同じ匂いがしてたからね。どうだい?」
うーむ。
どうもこの世界はずいぶんと複雑だな。
それとも自分がこの世界に転生した意味がそこにあるのだろうか。
「それで、私になにをさせたい?」
「石井四郎に会ってきてほしいんだ」
まあ、そうだと思っていたよ。やれやれ。




