主人公は一人じゃないぞ!!(願望)
確認はしておりますが、文章に一部不自然な箇所などがあるかもしれません…
最近、俺、三篠周太の親友、平雲快晴はモテている。
謎の美少女転校生に幼馴染、黒髪ロングの先輩が、快晴のことを取り合うようにしている。昼には4人で飯を食い、放課後は一緒に帰ったり寄り道したり。そう、彼はラブコメ主人公に「選ばれた」。確かに、持って来いかもしれない。平凡な顔つきに、迫られても迫られても気づかない鈍感さ。俺意外にろくに話せる友人もいない。
でも、、、
「それはおれもおなじだっつうのおおお!!」
そう。ああいうラブコメの世界では、基本的に平凡な主人公が、学校で1,2を争う美少女に好かれている。でも、よく考えてみてほしい。平凡ならラブコメ主人公になれるなら、鈍感ならラブコメ主人公になれるのなら、作中、舞台となる学校には、もうあと2,3人、ラブコメライフを送っいるやつがいてもおかしくないのではないか。と。でも、そんな話は聞いたことが無い。
「どうして俺を選んでくれなっかったんだ!!ラブコメの神様ああああああああああああ!!!!!」
もう、悔しくて悲しくて、泣きそうな毎日です、、、
――――――――――
「おはよう、快晴くん♪」
「ああ、おはよう。快晴くん。」
翌朝。教室で快晴の到着を待っていた少女らは、幼馴染の涼香と登校してくる快晴の姿を見つけると、快晴のもとに集まっていった。
「俺もああなりたかったなあ。」
そんな独り言をつぶやいていると、快晴と女の子たちがこっちに寄ってきた。
「おはよう、周太くん」
そう声を掛けてきたこいつが快晴。俺の数少ない親友の一人で、ラブコメ主人公に選ばれた男だ。
「三篠さん、おはようございます。」
さっきは、「おはよう、快晴くん♪」とか言ってたのとは思えないあっさりとした返事を返してくるこの子は、去年の秋に突然転校してきて、その容姿から謎の美少女転校生として噂になっている桐谷沙菜。
「あらおはよう三篠くん」
快晴にも俺にも、同じように返事をしてくれるこの人は、笠野亜沙。黒髪ロングが似合う一つ上、高校3年生の先輩だ。
「周太くん!おはよー」
元気よく挨拶をしてきてくれた茶色っぽい髪色に活発な笑顔を絶やさないこの子は西野涼香。快晴の幼馴染だ。この子は、俺とも割と仲良くしてくれる。名前で呼んでくれるのもこの子くらいだ。
「おはよう快晴。みんなもおはよう!」
俺も挨拶を返す。
こんなに可愛い子たちが、みんな快晴の事が好きだなんて、ショックすぎる。代われるなら変わりたいくらいだ。
快晴は、俺と挨拶を交わすと、そのまま女の子たちに連れて行かれた。最近は、1日中こんな調子で、快晴と話せる機会も減ったものだ。
「なんだか親友が遠くに行っちまった気がするぜ、、、」
今日もまた、寂しい1日になりそうだ。
――――――――――
放課後、快晴がモテ始めてからは最近は一人で帰ることが多いため、今日も駅前の方へ寄り道をして帰る。
「ゲーセン来る頻度上がったな、、、」
俺は、よく音楽ゲームを遊ぶため、今までも、週に2日はゲーセンに訪れていたが、一人で帰ることが多くなってからは寄り道して帰ることも多くなっていた。
「さて、今日はどの曲すっかな?」
まあ、これはこれで楽しい生活だが、快晴みたいなラブコメライフを見せつけられると、なんだか物足りなく感じてしまうものだ。
「隣の芝生は青く見える。ってな」
俺はゲーム機の音でかき消されるような声でつぶやいた。
その後、30分ほどでゲームを終え、帰宅する途中。
通り抜けようとした公園で、大泣きする子供と、それをあやす女の子の姿を見つけた。どうやらこの子は迷子で、この女の子は探すのを手伝おうとしているのだろう。
「あの、どうかされたんですか?」
俺は、このあと特に予定もなかったので、迷子探しを手伝うことにした。
「それが、この子迷子みたいなんです。」
「そうなんですか、、俺も手伝いますよ!」
「良いんですか?ありがとうございます!!」
女の子は輝くような大きな瞳でこちらを見つめてきた。
この子、すごい美人だ、、、
少し見惚れてしまいそうになったが、今はそれよりも迷子だ。
「もう大丈夫だ。お兄ちゃんとお姉ちゃんもパパとママ探すの手伝うから。な?だからもう泣かなくて平気だぞぉ?」
安心させようと、咄嗟に言葉を紡いだが、どうだろうか。
「、、、本当に?」
「ああ、ホントだ」
「そうなんだ!ありがとう!やさしいね!」
どうやら、成功したらしい。
「とりあえず、探すのを手伝いたいんだけど、パパとママがどんな人かなぁ?」
「うんとね、今日はお母さんピンクのふくを着てたよ!」
「そうかそうか。そういえば、お名前はなんて言うかな?」
名前を聞いておいたら呼びながら探せる。
「わたしは、、しぃな!」
「しいなちゃん?」
「うん!!」
「よぉし、わかった!!じゃあ一緒に探しに行こうな!」
そう言って笑顔を見せると、しいなちゃんも笑顔で返してくれる。
「今からこの子の親御さんを探しに行くから、ついてきてもらってもいいかな?」
後ろでその様子を見ていたさっきの美人な女の子の方にそう声をかけながら後ろを向くとこちらをじっと魅入っている姿があった。
――――――――――
「ありがとうございました!!」
「ありがとう!」
「いえいえ、ぜんぜん気にしなくて大丈夫です!」
「本当、気にしなくて平気ですよ。気をつけて!」
その後、無事親御さんを見つけて、今こうして見送っているところだ。
「君もありがとう。助かったよ」
俺は女の子にも声をかける。
「いえいえ、こちらこそありがとうございます!!」
女の子は頭を下げる。そして、
「あの、もしよければ、お名前を教えていただけませんか?」
俺はそう問われる。答えない理由もないので、答えることにした。
「俺は三篠周太。今日はありがとう!」
そう答えると女の子は優しい笑顔を浮かべて、
「周太さんは優しいんですね」
と言ってくれた。
「そ、そうかなあ」
こんなかわいい子にそんな事言われるなんて、今日はツイてるかも知れない。俺は上機嫌で帰路についた。
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