表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

別路2

作者: あたん

「あなたの好きな方でいいよ」

にこりと笑う彼女が愛おしかったあの頃を思い出して熱い缶コーヒーのプルタブをあける。

4年間大好きだった彼女。バイクの後ろに彼女を乗せて夜風を感じるあの瞬間は今でもはっきりと思い出せる。それと同時に彼女の目に溜まっていたあの綺麗な潤いもはっきりと脳裏に焼き付いている。


僕は寒い日には彼女に缶コーヒーを渡し、夏の暑い日には氷の入った冷たい飲み物を渡す。彼女はにこりと笑って黙って飲んでいた。そしてその後に必ず具合の悪そうな青白い顔で「ありがとう、おいしかった」と、嘘をつく。


僕が仕事で辛いことがあると一晩中やけ酒に付き合ってくれて、「あなたが悪いんじゃないわ」と必ず言ってくれていた。そんな彼女は会社でいじめを受けていた。


にこりと笑う彼女が大好きだったのに、いつの間にか笑いかける彼女が嫌いになっていった。

「俺たち…別れよう」

声が震えた。

「そっか。うん、わかった。ありがとう」

なぜ彼女は縋ってくれなかったのか。本当に僕を好きだったのか。今となっては聞くこともできない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ