39 魔力測定器!?
軍備がどうこう、についてはまたにするとして。
日本は「スパイ天国」と言われている。
普通の国に普通にある、スパイ防止法は無い。
利益の相反する諸外国には絶好の標的。
だが。
今進行しつつあるその活動。
世界に今まで無かった新しい存在。
ただし名前も無く、形としては無いものとされる。
その後、神代さんの語った内容だ。
「『この方面』はそれぞれとっくに動いてる。
うちはそのごく一部であり、活動は始まったばかり。
いくら君でもまだ細部は教えられないんだ」
「はい、まあそうでしょうね」
僕も秘密にしていることが多すぎる。
おあいこだ。
「チュウチューブでの活動が甘いというのはその通り。
それだけならね。
うちは下っ端、一部門に過ぎないしね」
下っ端のために公安が動く?
上層の下っ端か。
「とりあえず君はうちの中核メンバーとして登録した。
調査されたのはそのせいだね」
「いったいどこまで調べたんでしょうか?」
「君と親密な関係の者だけに聴取したらしいよ。
例のお嬢さんはなぜか除外されたそう。
山中君の話から、朝倉君にも及んだようだ」
朝倉の前歴とかは無視されていそう。
あくまで僕の調査だからな。
井原さんは……まあ良かった。
理由はなんとなく分かる。
あれで報告は書けないよな……。
それにしても、気持ちいいくらい全て話してくれてる。
こっそり知った朝倉の事さえ。
聞きもしないのに。
「で、可能なら聞かせてほしいだけど……」
キタ、社長の反撃だ。
「強運という話だけれど。
君自身が親父の命を救った力と同じなんじゃ?
アメリカに居たそっくりさんも引っ掛かってるし」
「えっ、そんなの有り得ます?」
すっとぼける。
というか、爺さんと僕は全然別だし。
「飲み物でも頼もうよ。
君は何がいい?」
うう、長期戦の構えか!?
コーヒーが来た。
僕はブラック、社長は砂糖とミルクをたっぷり。
これで一杯500円だからな。
ん? 神代さんが懐から変な機械を取り出す。
手のひら大、電気のテスターみたいな。
僕に近づける。
「すごい反応だ!」
メーターの針がビクビク動きまくってる。
これは何を測ってる?
放射能、なわけないか。
「これが君の力か!」
まさか、現代世界で魔力を測る機械が?
逃げたい気持ちもあった。
でも、どう反応していいか分からず動けない。
よく見ると、なんか指がピクピク動いてる。
こっそり下側から感知で覗くと……
なんだこのオモチャ。
スイッチみたいなのを押してるだけだ。
「あのー」
「話してくれる気になったか?」
言いたくないが、ここまでとぼけられると仕方ない。
「指動かしてるのが見えましたよ」
「よし! 大体分かって貰えたかな?」
「……はい、大体は」
「じゃあ帰ろうか!」
これだけ堂々とされると何も言えないな。
おかしな小芝居だけで何も無く、安心したし。
会社に帰ると、社長が柳さんに再確認した。
僕の調査内容に納得したかだ。
問題は無いらしい。
社長が金庫から書類を出して僕に渡してくれる。
個人情報だからか、厳重だ。
「自分でも確認しておいて。
君の場合、特別だからね」
普通は調べられた本人は見ないはず。
でも、あれだけ喋っちゃったからな。
聞いた内容に加え、家庭環境についてもあった。
父、死亡
母、不明のちに死亡扱い
15歳より伯父と伯母が保護者となる。
両者ともに問題は見当たらず。
まあ当然調べるだろうな。
もちろん、僕自身の経歴についてもあった。
普通の履歴書みたいな感じ。
すべて読み終わった。
「公安の調査内容は一切漏れないはず。
だから安心していいよ」
小声で社長が言った。
山に来ている。
もちろん山の服装に着替え、ショートカットした。
もう監視や尾行は無かった。
今日はバリアの作成とテスト。
なんだかんだ言って、一番落ち着くんだよな。
魔法を磨くこの時間が。
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