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巻き込まれ召喚されましたが、要らないので返品されました  作者: 炉里 邪那胃(ろり じゃない)
第一章
13/57

13 犯罪心理

 転移しようとして思いとどまる。


 数々の拉致監禁事件があったが、それらの本は大体読んだ。

 犯罪心理への興味と読み物としてだ。

 当たり前だが絶対に自分ではしない。


 あの男はすぐには事には及ばないだろう。

 恐らくあのドキュメント本の読者。

 まさか真似をするバカがいるとは。

 だがあれを参考に、欲望を抑えていられたようだ。



 “あのドキュメント本”は、ちょっと奇異なものだ。

 その犯人、年配の男はまず映画に影響された。

 そして『もっとうまくやる』と拉致を実行。


 最初は暴力で静かにさせた。

 優しくなだめるが、すぐ事に及ぼうとして拒否される。

 今回の犯人もそこから学んだわけだ。


 だが日数経過で少女は、諦めと『かわいそう』という感情を。


 社員割引で買える当時高価なワープロのプレゼント。

 やがて、少女は犯人を裏切ることをなぜか恐れるように。


 やがて自由な行動までも許され、一緒に旅行にも行った。

 それと、性にのめり込んで行く様子が描かれている。


 犯人は捕まるが少女はしばらく帰るのを拒否したそうだ。

『おじさんがかわいそう』と。


 著者の締めは、犯人擁護と取れなくもなかった。

 非常に変わった視点の本である。

 本当にノンフィクションかも論議がある。



 横道に逸れたが。


 ゆっくり考えてたわけじゃない。

 走っている、普通の速度だが。


 今回の男は30代、だが家は結構大きい。

 親から継いだのかとかはどうでもいいな。

 家全体、ガラス窓には黒のフィルム。


 怪しさ満点なんだが。

 そういう家での事件も過去にあったな。



 そこは栄栄の事務所から苦谷(にがや)周辺の中間あたり。

 苦谷(にがや)方面に探しに行ったという事で言い訳できそう。


 しかし、それだけで見つけるのは無理がある。

 もうすぐ着きそうだが。



 カバンとコンビニ袋を持った年配男性を見つける。

 ちょっとフラフラしてて飲んでるのか。

 この時間だからな。


「すみません!」

 無視して通り過ぎようとする男性。


「すみません、誘拐かもしれないんです!」

 誘拐のワードに反応したのかこっちを見る。

 自分か(さえぎ)ったのもあるが。


「この辺で怪しい家を教えて下さい!」


「あやしい? あやしい家ねえ……」

 はっきりと言っていいのか迷ってるのか。

 だが完全にある方向を見ていた。


 あの家はその視界にあった。

 もう暗くて窓のフィルムは見えないが。

 僕には感知で見えている。


「あそこですね、ありがとうございました!」

 無理矢理、教わったという事実を作れた。




 チャイムを連打。

「こんばんはー!」

 出ない。


 フルパワーで楽に壊せるが、なんとか我慢した。

 扉を開けさせる理由を。

 警察だと言うのはまずい、犯人はパニックになるだろう。


「宅配便でーす」

 ちょっと、いやかなり遅いがこのご時世。

 何か届いたらしいのに無視はできないはず。


 扉が少し開いた。

 普通のモードでも全開させるには十分だった。


「女性のうめき声がきこえるんですが。

 どうかされました?」


 もちろん嘘だ。

 僕のステータスでは声までは聞こえなかった。


 男の目が一瞬泳いだが。

 腰の辺りからランボーナイフのようなのを取り出した。


 プリセットを格闘モードへ。

 突きを軽く躱す。


 っていうか、こいつ危ない。

 後の事を考えずに、隠蔽する事しか頭に無いようだ。

 当たったら死ぬよ?


 格闘モードは通常から“器用さ”のみフルに上げている。

 元々“丈夫さ”は常に上限。

 刃物で襲われる事も想定済み。


 敏捷を上げれば速く動けるが、人間技ではない。

 究極に器用なら、あらゆる技や動きに自然に対応できる。


 ゲームで短剣使いのDEXを上げて大ダメージを出せたな。

 なるほど、ちゃんと合理性があったんだ、と思う。


 腕をねじり、ナイフを落とさせそのままうつ伏せに。

 荷物用のヒモが玄関にある、丁度いい。

 手元にヒモとハサミを転移、腕と足を縛る。


 銀行員のと違って、片方ずつ交差させる。

 ぐるぐる巻きじゃ外れてしまう。


「くそっくそっ、あいつの男か!

 ツケてたんだな」


 無視して放置。


 すぐに彼女を解放しなければ、それから警察や社長へ。

 一刻も早く……。


 しかしどうしよう。

 僕のヘタレはまだまだ治らないようだ。


 井原さんに関しては。


参考文献:

「女子高校生誘拐飼育事件」(ノンフィクション)

松田美智子(著) / 幻冬舎

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