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8 平穏
平屋の校舎、道路との境には土手が作られ、沿って桜の木が並んでいた。五月の連休には、桜が満開となり、校庭では大人たちが朝から草野球に興じていた。
太一の飯炊きは変わらないが、釜から電気釜になり、少しは楽になった。
父親も離婚 のいざこざから落ち着いたのか、生来の坊っちゃん気質になっている。
太一は馴染んでいた。しがらみのない地であった。級友は、そのものである。悪くいえば、学校は行くもの、ただそれだけなのであった。
しがらみがあるのは、教諭だけである。長閑な中、太一は、島と同様、それを感じとるのである。