4/19
4 僻地
島には教員用の住宅がある。単身赴任者、家族持ち、それぞれに。少年は、父親、妹と住む。生まれて祖母と住んだ家から、父親の元に来たのだ。母方の祖母から手渡された汽車賃を手に一人やって来た。
暫くして、姓が変わった。少年には、その意味はわからない。飯炊きの仕事ができた。
いじめられるのは『そういうものだろう』と、仕方ないものと思うだけだった。
たまに教師たちが、家に来る。酒が入る。大抵の話しは、愚痴である。少年の耳に入るが、大人は気にしない。しかし、子供でも、教師間の悪口なら、わかりすぎる。少年には、困るのである。
少年は、父親にも、教師にも、級友にも馴染まず、鳥や木をを相手に過ごした。