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18 夏、秋、冬
太一には静かな日が続く。森を流離う。夏、中学校の校庭では、大学のアメリカンフットボール部が練習をしていた。秋、休日、どこかの建設工事会社がゴルフクラブを振っていた。太一たちは、置かれたままのクラブを手にして、球を打つ。太一は気になる女子を見るのが嬉しい。
しかし、父親は確かに変わってきていた。まず、同級生たちとの付き合いに文句を言い始めた。あからさまに、 生徒を貶す。太一にはわかった。僻地の子。大学のコンプレックスを持ちながら、弱い者には強い。
そして、三月、父親は転勤を告げた。既に春の休みに入っている。太一は泣いて抵抗した。が無理なのである。父親が希望したのだろうが、太一は教育委員会までも恨んだものである。
次の中学校では、物言わぬ生徒となる。




