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16 余計なお世話なのだ
父親の様子がおかしくなった。太一は敏感である。夜に、保護者の家に行っては『先生、先生』と持上げられて、悦に入っていたのだが、保護者、母親が余計な事を言ったのだろう。
父親は、帰って来るなり太一に殴りかかってきたのだ。太一には、訳もわかる筈がない。
「なに、※※※(離婚した母親の名)に行きたい」
太一は理解した。多分、生徒の保護者は太一の事を心配して、母親の必要性を言ったのだろう。太一は、母親の名や、居るところの地名は言わない口にしない。似たような文言も禁句である。即座に殴られるからだ。
太一には、家族は?であり、一人で生きなければならないと既に思っているのである。
「出ていけ」父親が喚く。太一は、裸足で雪の積もる外に逃げた。何れ、気が済めば父親は寝てしまう。泣いていた。朝になれば、先生然として、職員室にいるのである。
太一は思っている。親が亡くなった子は同情される。だが、親が生きていれば、片親が同情されるのである。実際を他言すれば、殴られるから、口にする事はない。父親にすれば、世間体が 大事なのである。
太一は家族という集団が理解出来ていないのであった。




