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13 秋
落ち着いていた様な父親が地が出てきたのだろうか、知り合いとなった、小学校の事務員の家に入り浸るようになる。その縁か、太一とそこの息子の同級生が、新聞配達を始めた。
朝一番のバスで、新聞がバス停に置かれ、息子の家が引き取る。太一と息子、たかだか、40部程度だが道程は遠い。太一は、まず教室にカバンを置いて、自転車で新聞を取りに行く。そして、最後に中学校の職員室に配達するのであった。
太一を構う上級生は多かった。太一は、疑う事を知らない。総じて、回りは先生を気にすることはない。皆、仲間なのである。都市部の情報は伝わらない地である。生徒たちの将来は、学校抜きなのである。教師は別世界の人として、妙に大人びているのだった。
太一も、別な意味で同じである。他と違うのは、両親の庇護が無いことだったが、わかるはずもない。ただ、一人でも皆でも自然の中に戯れる。秋、ここでは何でもあった、山葡萄、山グミ、アケビ、芒の原に寝転べば、枯れた薫りが心地好い。
ただ、教師たちの動向が父親から伝わるのが苦痛である。宗教絡み、教師のしがらみ、得てして若い教師を除き、僻地にくる教師に違和感を感じるのである。




