仮面
最初の街へと戻る帰り道。
ミリカは目の前にある物が気になって仕方ない。
その見た目は、
真っ黒な仮面、仮面の右側に白で描かれた雷のギザギザ、目に当たる部分には紅い宝石、口は無く、シンプルな仮面が落ちていた。
どう見ても怪しさ満点の仮面、無視するのが正解だが。
人とは好奇心が強い生物である。
ミリカもまた、人である。
だから仕方がなかったかも知れない。
私はその仮面を見つけた時は無視しようとしたが、でも、無視出来なくて。
葛藤しながらアウルに街に向かって進んで、っと指示しようとした。
が、そこにアウルから悪魔の囁きがごとき誘惑がされた。
「『ご主人、そんなに気になるなら見てきたらどうです?』」
「駄目よ!あんな不気味な物を触ったら、何が起こるか分からないじゃない!」
「『触ったら、なんて言ってないです。ご主人、もう一度言いますよ。見てきたらどうです?』」
「み、見るだけ。うん!それなら大丈夫だと思うわ。少しだけ見てくるわ」
誘惑に負けた。
人は、触る・行く等は怖がるが。
見る、っとなるとつい、怖いもの見たさ・興味本位で見てしまう。
そう!今回のミリカの状況もまた、条件に当て嵌まるのだ。
「『わかりました。ここで待ってますね』」
「えぇ、待ってて。すぐ見たら帰ってくるから」
そう伝えてから、私は仮面に近づいていく。
近づいて仮面を見ると、色々と凄かった。
仮面は光沢があり。
宝石の中には炎が閉じ込められているのか、宝石の中で炎が揺れていた。
ギザギザの中には薄く、文字らしきモノが書かれていた。
仮面を評価するなら。
不気味であり、カッコよくもあり、中二に味わう痛い思い出が思い起こされる代物であった。
私はただ、仮面を見ていた。
が、気が付くと仮面が近づいていた。
いや、仮面が近づいていたんじゃなく、私が近づいていただけだった。
まるで、仮面に引き寄せられるように。
そう思考した時だった。
私は、
仮面を
手に取っていた。
混乱した。
無意識の行動。
まるで、仮面に。
操られているかのよう。
また、思考した時にはもう、仮面を着けていた。
着けた瞬間、頭の中に声が響いてきた。
〈ハハハハ!着けたな!俺様を着けたな!貴様はもう、仮面を外せないぞ!ハハハハ、ハァーハハハ〉
「うるさい!外れて」
〈そんなこと言ったって外れないぞ。何せ俺様は、インテリジェンス・ウェポン。何だからな!〉
「ん?貴方のどこが武器なの?」
〈決まってるだろ。仮面だからな!〉
「どう仮面を使うの?」
〈頭突き、投擲、あっ!仮面は投げても戻って来るから安心しな!精神攻撃、鈍器。色々使えるだろ?仮面わ〉
「色々と突っ込みたいわ。最初の頭突きは分かるわよ。でも、投擲は分からない!後、精神攻撃ってどなん攻撃なの!鈍器にはなるかもしれないけど。どこを持てというのよ!そもそも!仮面が外れないじゃない!」
〈ふむふむ、疑問に答えてやろう。
まず、投擲は。
仮面の下を持ち、敵に向かってブーメランの要領で投げれば、打撃の攻撃になるから相手を怯ませれるぞ。
次の精神攻撃だが。
シンプルな攻撃だ。
俺様を見て、己の過去を思い出す。
そうなると相手は、こちらを見なくなるか。悶絶して動かなくなる。
その間に攻撃をしろ。
シンプルだろ!
最後の鈍器はな。
まず、仮面の下を持つ。
それを思いっきり相手を殴る。
それだけだ。
もちろん、盾としても使えるぞ。
そして、仮面を外せないから使えない。の質問は聞かなかったことにする。
以上だ。ちゃんとウェポンだろ?〉
「全然使えないではないですか!しかも!外れない!こんな理不尽がありますか!」
〈そう怒るな。安心しろ、ちゃんとした能力がある〉
「期待はしませんけど。聞いて上げます」
〈それはな。時々、闇の言葉を話してしまう。スゴいだろ!〉
「どこが!どこがスゴいですか!闇の言葉が何なのか分かりませんけど。確実に分かるのは、周りに痛い人と思われることです!」
「『ご主人、さっきから騒がしいけど。何かあった?』」
「な、何にも無いわ。すぐそちらに行くから待ってて」
アウルに返事を返し、仮面との話に戻る。
「さて、貴方外れてくれない?」
〈それは無理だ!くっついたら離れないように造られたからな!〉
「それもう、呪いじゃない!どうやったら外れるの?!」
〈方法は二つ。強い聖職者に解いてもらうか。俺様を造った者に頼むかしかないぞ〉
「ねぇ、今貴方。自分が呪いの仮面だって認めたわよね?」
〈はて?何を言ってるのかな?〉
「誤魔化せないわよ!迂闊に近づいた私がバカだった」
〈迂闊に近づいたことを後悔するんだな!〉
「絶対に!解いてやるんだから!」
〈解けるもんなら解いてみせろ。まぁ、無理だと思うがな〉
「うぅ、必ず解いて貴方を浄化する。アウルを待たせているから行くわよ」
〈楽しみにしとくぜ〉
その後。
ミリカはアウルに事情説明をして、街への帰路に戻るのだった。




