ログイン。冒険のスタート(嘘)
今更ですが、Cの読み方は、コールです。
後片付け等を終えて、部屋へと戻った御華はまだ、寒気に襲われていた。
「うっ!まだ、寒気がする。それに、なんだか寒気が増している気がする」
寒気が増しているのは気のせいではない。
何故なら、姉が恐ろしい物を執筆しているからである。
それを知らない御華は、寒気を減らそうとベットに、入って行く。
「うーん?全然、寒気が減らない。風邪でもなかったし、新種の病かな?でも、それだったら専用の機器が反応するはず、それがないってことは病気ではない、のかな?」
考えてみるが、答えは出なかった。
一回、頭を切り替えようと、元々の予定だった、ゲームをやることにした。
「ゲームをやれば、寒気も消えるかな?」
そう思いつつ、ゲームにログインするのだった。
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《町の宿屋》
「うーん?ここは?……!あっ!昨日、ログアウトする前に泊まった宿屋だ!」
今日の午前の出来事が強烈すぎて、昨日のことを少し忘れていた。
「んー?何か忘れているような?……まぁ、いいか」
そして、考えるのを止めて外に出ようとしたとき、思い出した。
「あっ!思い出した!昨日、誘拐事件やら上級職事件なんかあったんだった!っと!危ない、危ない。口調に気を付けないと。取り敢えず、記憶の整理をしよう」
そうして、記憶の整理と口調を直したのだった。
「よし!今日も元気に頑張るわ!」
やっと、部屋から出たのだった。
「おはようございます。女将さん」
「うん?お嬢ちゃん、おはよう。っと言いたいが、今は夜だよ」
「えっ!今、夜なのですか!」
「おぉ、どうしたお嬢ちゃん、急に元気になったりして」
「だって!夜ですよ、夜!」
「夜がどうしたんだい」
「夜は、強敵が出る時間でもあるんです。それは、知っていますか?」
「それゃあ、知っているとも。だから、夜は街の外に誰も出かけないんだよ」
「えぇ、それは分かっているつもりです。ですが、私たち、転移者はレベルを上げる為に、夜も狩りに行くのですよ」
「あぁ、だからか。毎晩、外に狩りに出ていくのか」
「えぇ、だから私も、狩りに行くのですよ」
「はぁー、本当、アンタ達は恐れ知らずだね」
「ふふ、私たちは、恐れ知らずではなく、この世界を楽しむために、挑んでいるのですよ」
「楽しむためね、じゃあ、アンタ達は何に挑んでいるんだい?」
「未知、それも誰も突破したことのない、未知の領域を、誰も作ったことのない物を、誰も見付けられなかった、技・宝・場所を、私たち転移者は、その未知を解き明かしたくて、挑んでいるのですよ」
「はは、壮大な挑戦だね。だが、嫌いじゃあないよ、その夢」
「夢、ですか?」
「あぁ、そうさ、夢さ。私らの長い歴史でも、未知の領域を攻略した者は、数少ない。それも、英雄等の偉人だけだ。だから、アンタ達の挑戦が、夢だと言ったのさ」
「そうですか。ですが、私たちは必ずや、未知を攻略してみせます」
「そうか、アンタ達は諦めないんだね。この夢を聞くと、絵本の物語に出てくる、彼らに、似ているね」
「だから、夢じゃあないですってば!ん?絵本?彼ら?」
「あぁ、そうか、アンタ達は知らないか。とある絵本の話に出てくる人物達に、アンタ達は似ていたのさ」
「どんな、絵本ですか?」
「確か、ちょっと待ってておくれ。今、持ってくるから」
「はい、分かりました」
5~7分後
「あったあった!これだよ、これ!」
そう言って、見せてくれたのは、
「『冒険者の日常』?」
(冒険者と言えば、ファンタジー物の定番じゃあないか!でも、今は無いんだよな。何故、絵本には冒険者があるだ?)
「そう、『冒険者の日常』のタイトルにもある、冒険者がアンタ達に、にているんだ」
「冒険者が私たちに似ている?」
(冒険する者って名乗ってるから、私たちと似ているのは間違いではない。だけど、冒険者が無いのか気になる)
「『冒険者の日常』の冒頭に、冒険者は未知に挑む者って書いていたのさ。だから、その点は、アンタ達と同じだろう?」
「そうですね。確かに、同じですね。女将さん、一つ気になったことがあるんですが、何故、冒険者は今は、いないのですか?」
「それは……もう、数百年は昔かね。その日、冒険者ギルドはある魔物を退治しようと、強い冒険者達を集めたのさ」
「強い魔物?」
「そうさ、その魔物は、とんでもなく強かったのさ」
「その、とんでもなく強い魔物に、強い冒険者達は集めて、退治しようとしたのですか?」
「その通り、強い冒険者達を集めて、退治に向かったさ。だが、作戦は失敗し、近くにあった、村や町や、果てには国を滅ぼされた。それ以来、人類はその魔物に挑むのは止めた。そして、残った冒険者達は、素行の悪い者ばかりがいたので、ギルドは段々と腐り、最後は、国を襲ったりして、冒険者ギルドは、国に潰された。これが、冒険者ギルドが無い理由だよ。まぁ、記録に残っていたことだけどね」
「そうだったんですか。それは残念ですね」
「あぁ、あの魔物に挑まなければ、今も残っていたのに」
「その強い魔物とは、何ですか?」
「お嬢ちゃんは、戦わないと約束出来るかい」
「はい、約束します」
「その言葉、信じるよ。じゃあ、言うよ?」
「はい、大丈夫です」
「その魔物の名は、ジード。大地の天災、と言われる魔物」
「ジード。どんな魔物何ですか?」
「二つ名にある大地が。あの魔物の力を表している」
「大地?私たちが立っている地面のことですよね?」
「そう、その地面さ。あの魔物は、地震を起こし、地面を割り、その叫びで、空間を揺らす」
「なっ!化け物じゃあないですか!」
「化け物さ、あの魔物は。そして、意思もある。だから天災と言われている」
「凄い、化け物ですね。よくそんな存在に喧嘩を売れましたね」
「その理由は分からないがあの魔物は巨体だったから。倒せれば材料に使いたいとか。思ったんじゃあないかい」
「で、結果は敗北、と」
「そういうことさ。だから、あれには挑んじゃあダメだよ」
「えぇ、その強さを聞いたら挑もうなんて思いませんから」
「なら良かったよ」
「えぇ、貴重な情報ありがとうございました」
「職業ギルドに行けば知れる情報だから。貴重なんてもんじゃあ無い」
「ふふ、それでもお礼を言わせてください。ありがとうございます」
「ふん!それより、二日たったがまだ泊まるかい」
「泊まりますよ。気持ち良かったですし」
「なら良かったよ。で、何日泊まるつもりなんだ?」
「うーん?取り敢えず7日でお願いします」
「あいよ、3.500Cだよ」
「はい」
「うん、今回もちゃんとあるね。夜遅いけど、ご飯食べてから眠るかい?」
「はい、そうします」
「はいよ、少し待ってな」
3~4分後
「余り物だけで作った料理だけど。寝坊したお嬢ちゃんの自業自得だと思って、我慢しな」
「いえ、余り物で作った料理だとは思えないほど美味しそうです」
「ふん!褒めたって何も出やしないよ」
「ふふ、それじゃあいただきます」
そう言ってから、食べてみると。本当に余り物で作った料理とは思えない、味だった。
「美味しい」
自然と口から言葉が出てきた。
「それなら良かったよ」
照れながらも嬉しそうに女将さんが言った。
「明日の朝も楽しみにしてますね」
「あぁ、余り物じゃあなくてちゃんとした料理を作るから。楽しみにしてな」
「はい、楽しみにしてます。ごちそうさまでした。おやすみなさい」
「おやすみ。朝は寝坊するんじゃあないよ」
「寝坊はしませんから、安心してください」
「はは、分かったよ。次こそおやすみ」
「はい、おやすみなさい」
そうして、部屋に戻ったミリカは布団に入り寝るのだった。




