《社会の授業》
「え~~織田信長は本能寺で秀吉に……」
お昼時に近づく時間。誰もがお腹を空かせており、先生の声が耳を右から左に流れて行く。
「え~~ここの問題を御華くん。答えてください」
「へぇ?」
もちろん、御華もその一人であり、ぐぅ~~ってなりそうになるお腹を押さえてるのに必死で先生の話を聞いておらず、その為いきなり言われて変な声を漏らす。
「ここを答えてください」
先生は訝しげな表情をしながら、もう一度言った。
「は、はい!」
そこでやっと理解した御華は慌てて質題された問題の解を探すべく今開いてるページを見る。
「あった!本能寺の変!」
答えを見つけた御華は叫ぶように答えを言った。
「正解です。後、もう少し声を抑えてください」
「はい」
注意された御華は小さな声で返事を返す。
「え~~御華くんが答えてくれたように、明智光秀が織田信長を討った事件の事を本能寺の変と言います。では次に……」
「ビックリした~~」
先生が次の話に移った事に御華は胸を押さえてホッと安堵する。
「急に聞かれてお腹が鳴りそうになったけど、鳴らなくて良かった~~」
(もし、あの時なっていたら……)
答えてる最中に鳴りでもしたら……っと想像した御華は顔を赤くなった。
「まっ、まぁ、そんな事にはなっていない……だ、だかは私、考えるのを止めてぇ~~」
自分に言い聞かせるが一度想像した事は中々消える訳も無く、逆に強くイメージしてしまい、羞恥からブルブルとしながら悶える。
キーン コーン カーン コーン
「今日はここまでですね。では、社会の授業を終わります」
御華がそんな事をしてる間に社会の授業は終わってしまい、給食の準備に入って行く。
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ガチャガチャと机や椅子を動かしたりする音が聞こえる中、御華も自分の机を移動させたり、必要な準備の手伝いをしていた。
「これはこっちだっけ?」
「あってるよ。そこに置いて!」
御華は他の準備を手伝っている男の子に物を見せて置く場所に指を指して聞くと、男の子はチラリと御華が持っている物と指された場所を見た後、そう返事をする。
「ありがとう!」
御華は男の子にお礼を言ってから置きに行く。
「よし!次は何をやろう」
物を置き終わると次に手伝う事は無いかと周りを見回すが、準備はもう終わっており、後は給食係が給食を持って来るのを待つ状態だった。
(後は給食だけ……ふんふんふ~~イチゴジャム~~)
御華は席に上機嫌で戻る。
「取りに行ってください」
それから暫くして、給食係が準備を終えると加木担任は生徒達にそう私事を出す。
「「「「「は~~い!!」」」」」
腹を空かせた生徒達は早く給食を得る為に我先にと並ぶ。
「後、もう少しだったのに……」
御華もその例には漏れず、早く給食を手に入れようとしたが一歩相手が早く、二番目になってしまった事に悔しさを抱く。
「はい」
「はい」
「はい」
「ジャムをもう一つ!」
「駄目。一人一個までだよ?」
「うっ!はい」
正論に何も言い返せなかった御華は諦めて次の係の元に行く。
「ははは、イチゴになると目の色変わるよな。はい、お味噌汁」
先程のやり取りを見ていた係の男の子は笑いながら御華にそう言うとお味噌汁を手渡す。
「イチゴは至高なんだよ?」
「分かったから、席に戻ってくれ。次が待ってるんだ」
御華の言葉をさらっと受け流した係の男の子は御華の隣に控える生徒達に目を向けながらそう言う。
「むっ。分かったけど、今度イチゴの素晴しさについて教えて上げる」
御華はそう言い残すと自分の席に戻って行く。
「嫌なんだけど……」
係の男の子が呟いた声は御華に届く事は無かった。




