《国語の授業》
「この物語は……」
先生が授業をしているのを聞きながら御華は、今日の授業内容である物語を読んでいた。
「……面白かった」
最後まで読みきった御華は満足そうに教科書を閉じる。
「ほぉう……何が面白かったんだ?」
「それはね~~……」
話し掛けられた御華はさっき読んだ話をしようと声を掛けた相手を向くが、そこに先生が立っている事に気づくと言葉が途切れてしまう。
「私の授業はつまらないか?」
「あ、いや、、それは無いです!!」
怖いことで有名な先生の授業を物語に夢中になり過ぎて聞き流していた御華はビクビクとしながらそう答える。
「じゃあ、今話は何処まで進んでいると思う?」
「えっと……」
聞かれた御華は目をあっちこっちに動かしてヒントは無いかと探すが、そんなものは……居た。
「(こ、こ、だ、よ)」
その人物は1限目の授業で一緒に補習になった季癒であり、季癒は御華に見えるように教科書を上に掲げてある一文を指差す。
「ここです!」
それを見た御華はすぐに教科書を開けてその一文を指して先生にそう言った。
「ん?ちゃんと聞いていたのか?」
聞いていないと思っていた先生は言い当てられて驚く。
「も、もちろん!先生の話を聞き流す筈は無い!!」
ここが勝機とばかりに御華は煽てる。
「そ、そかぁ~~?」
それにまんまと引っ掛かる先生……誰もが思うだろう。
『チョロい』
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その後、機嫌が良くなって再開された先生の授業をちゃんと聞いた御華は無事に休憩時間を迎えるとすぐに季癒の元に向かう。
「季癒ちゃん。さっきはありがとう!!助かったよ!!」
「ぅんぅん。同じ補習組なんだから協力して当たり前だよ」
御華のお礼に季癒は首を横に振るってそう言った。
「でも、助かったからお礼を言わせて!ありがとう!」
「う、うん……どういたしまして?」
お礼を言われる事に慣れていない季癒は頬を掻いて照れくさそうにする。
「ねえ!友達にならない?」
その姿が御華にとって愛でたくなるような可愛さを持っていて、御華は思わずそう提案した。
「友達?」
友達になろうと言われるとは思ってもいなかった季癒は目を大きく開いて驚く。
「うん!仲良くしたいの!」
「あ、ありがとう……」
素直に仲良くなりたいと言われた季癒はさらに顔を赤くさせて顔を伏せながらお礼を言う。
「これからよろしくね!季癒ちゃん!」
御華は元気一杯の笑顔で季癒に手を差し出す。
「はぃ……こちらこそよろしくお願いします……」
御華が差し出された手を恐る恐るながらも掴みキュっと握り返した。




