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VRMMOに男の娘が挑む  作者: 白夜の桜
バックを手に入れろ!
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何故だろう?可笑しいな?

「はぁ~~」


月輝く、星空を見上げながらマヒナは溜め息を吐く。


(人に怖がられるのって、こんなに辛いんだな)


強面の人を見て避けていた過去の自分を振り替えって、「酷いことをしていたんだな」っと後悔する。


(今度からは怖いからと避けずに、堂々と話し掛けに行くと良いかもな)


今、マヒナの中では『強面=良い人』となってる為に、フラグを立てるような事を思った。


「はぁ~~」

(今の俺がらしく無いとは分かっているが、それだけ辛かったってことだ)


溜め息を吐くと同時に、空から頭を下げて地面を見詰める。


(仕事仲間に怖がられるのは辛いな~~)


仲間に悪気は無い所か、怖い笑みを浮かべた自分から逃げ出さなかった事に感謝の気持ちしか無いマヒナだが、それでも怖がられたと言う事が辛かったのだろう、声には出て無いが涙がポロポロと零れる。


「ははは」

(ここ数年、涙を流した事が無かったってのにな……あぁ、だが、涙を流すってのは良いな。心が軽くなるぜ)


久方ぶりの涙に渇いた笑いを上げながら、涙を流した事で胸がすくう事に有り難みを感じた。


(よく弟が俺に抱きついて思いっきり泣くのはこれが理由か)


思いっきり涙を流したい衝動に駆られて初めてマヒナは小さい弟が大声で泣きたがる理由を知れた。しかし、それとは別に成人を越えた大人が大声で泣くなんて恥ずかしいと思っているマヒナは、抗いがたい衝動をなんとか理性で押し止めて静かに流すだけに止める。


(涙を流したら泣き終わるまで止めれないのか。困ったな)


自力で止めようとするが溢れて来る涙は止まらず、その事にマヒナは苦笑する。


「ゆっくりと待つか」


宿屋の壁に体を預けて、また空を見上げて涙が収まるまで待つ。


(こうして空を見上げるのも良いもんだな)


普段は中々、見ようとは思っていないマヒナにとってこの時は貴重に感じられたのか、じっくりと空を見詰める。


(雲って意外と早く動いてんだ)


時々、小さめの雲が通過してるのを見ると、いつも止まっているようにしか見えていなかった雲の移動速度に驚愕する。


(夜になると静かなもんだ。朝なんて喧騒でうるさいってのに、夜になるとガラッと変わるのかよ。なんて言うか、不思議だな。『見知っている筈のものが知らない一面を持っていた』だっけか?それがピッタリ当てはまるような光景だな。いつもお袋と弟が待つ家に急いで帰るから気づかなかった。……今なんか大事な事を言ってなかったか?)


ボーっと何をするでも無く、腕を組んで空を見詰めながら涙が止まるのを待っていたマヒナだっだが、自分が思った事の中に聞き逃せないような言葉を言ったような気がして首を傾げる。


(なんだったか……)


少し前の記憶を振り返ること暫くして、思い出したのか声を上げた。


「あ~~。お袋と弟が俺の帰り待ってんだった」


そこまで驚いてはいないようだが、ばつが悪そうな顔をしてることから悪いとは思っているのだろう。


(涙で濡れた顔で帰ったら心配されるよな)


自分の顔を確認できてはいないマヒナだが、それでも今の自分が涙で目が赤く腫れているのは分かるのかどうしようか悩む。


(ここは素直に話すか?……それは嫌だな。怖がられたって理由で涙を流したのを知られたら恥ずかしい。まっ、お袋はそんな事は気にしないとは分かるが、それはそれ、これはこれって奴だ。いくらそう思っても、恥ずかしいから話たくは無いからな。そうなるとどう話したもんか)


ウンウンと頭を捻って色々な案を思い付いたりするが、どれも決め手に掛ける……と言うよりは母親にそれは通じないと何となく理解している為に駄目になる。それでも良い案が無いかと暫くの間、考えていたマヒナだったが段々と頭がこんがらがって来たのか大きな溜め息を吐く。


「はぁ~~~!!思い付かねぇ!もう素直に話しちまうか!」


自棄になってしまったマヒナは、頭を雑に片手で掻きながらそう呟いた。


「はぁ。帰ろう」


これ以上、考えたくなかったらしく、素直に話す事にしてそのまま家に続く道を歩いて行く。

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