衝動
「ど、どうしよう……」
数分後、なんとか掛ける言葉を探したが見つからなかったミリカは途方に暮れた。だが、その瞬間、頭の中に電撃が走ったかのようにミリカに閃きを与えた。
「それだ!!」
いつも悲しい時や淋しい時等に姉と母がやってくれる撫で撫でを思い出したミリカは善は急げとばかりにシラの頭を撫でようと背一背伸びをしてシラの頭に手を置いて姉と母がやる時のような感覚を思い出しながら撫でようとしたが、頑張って背を伸ばした体勢ではそんな事を考える余裕が無く、その結果、思いっきり撫でてしまう。
「えっ?」
過去の過ちを思い出していたシラは急に感じた、頭の上から感じる人の温もりとその後に来た振動に驚きの声を上げるが、ミリカの力では大人の女性を倒せる程は無かったのでシラはすぐに落ち着いて状況を把握す……するまでも無く、シラの目の前には目をギュッ!と瞑って必死に手をうごかしてシラの頭を撫でているミリカの姿を見たのだから。
「何をしてるのですか?」
その問い掛けをしたシラは、未だに意味不明な行動をしているミリカに無表情で見詰める。
「あっ、えっと~~元気になれば嬉しいかなって思ってやったんです!」
聞かれたミリカは明るくそう返事を返した。
「元気なれば、ですか。私はそれほど暗かったのでしょうか?」
普段なら、真面目なシラは新人を教育する時は言葉遣いに気を付けるように注意をしたりするのだが、今のシラは、それが怖がられている原因なのでは?と思っているので言葉遣いについて特に触れずに疑問に思った事を聞いた。
「うん!凄く悲しそうな顔をしていたよ?」
自分で決めたキャラを忘れているのかミリカは素の自分でシラにそう答える。
「そうですか……ありがとうございます」
顔に出る程に動揺していた事に少なからず驚いたシラだが、それ以上にそんな自分を慰めてくれたミリカに感謝を感じてお礼を言った。
「ん~うん。元気になったら良かった!」
ミリカは首を横に振るった後、無邪気な笑顔で……つい、撫でたくなってしまいたくなるような笑顔でそう言って来るのだ。だから仕方が無い……
ポン ナデナデ
「ふひゃ~~」
「ッ!!」
その甘えた様な、気持ち良さそうな声にシラは何の声だろうと聞こえた方を向くと、自分の手が知らない内にミリカを撫でている事に気づいて、慌てて手を離した。
「……もっとぉ~~」
いきなり撫で撫でを止められたミリカは楽しみを奪われた子供のような……子猫のような悲しそうな表情をした後、離れたシラの手に頭を押し当てて頼み込む。
「い、いえ、もうやりま、せ……」
最初、やらないと断るつもりだったシラだが、そう言った時のミリカのなんとも悲しそうな表情を見ていると謎の使命感と言うべきものか分からない衝動に駆られて、断りの言葉が口から出てこない。
「お願ぃ~~」
「です、から……」
トロンとした目でジィーと見詰められて来ると、撫でたくなる衝動が強くなって来るのか、シラはミリカの頭に手を伸ばし始める。その事に今のミリカが気づかない筈が無く。
「えぃ~~」
近づいて来た手を自分の両手で掴み取り、自身の頭に押し当ててウリウリと頭を動かす。
「や、やめて、ください……うっ、この衝動に抗えない」
手が頭に触れた事で謎の衝動が止まることを知らなくなる程に溢れたシラは嫌と口では言いながらもミリカの頭を撫でる。
作者はミリカを愛でたいし、撫でたい。なので、撫で撫では多いですよ。




