原因は気づかない
「うぅ……」
あれからどれ程の時間が経ったのか分からないシラだったが、呻き声と共に目を開けたミリカを見てやっと、訳のわからない状況から脱出できたと気づいてホッと安堵すると共に、体から緊張が消えて行く。
「あれ?……どうしてシラさんがここに……」
まだ意識がハッキリとしていないのだろう。ミリカはここを自分の部屋だと思っているみたいで、そこに何故か居るシラが不思議でならない表情でシラを見詰める。
「はぁー……ここは休憩室です。ミリカさんの部屋ではありません」
先程までの可笑しな状況の発生源たるミリカの表情を見て何が言いたいのか理由したシラは呆れた溜め息を……に扮した安堵の溜め息を吐いて言葉の間違いを正した。
「えっ?…………ッ~~~!!!??」
最初、意味が分からず頭に疑問符を浮かべていたミリカだが、数分の後にやっと理解できた時、色々……覚え作業、寝ていた、自分の部屋と間違えたこと等々、自分の言動等に気づいていったミリカは声にならない声を上げて慌てて布団から出て立ち上がると、
「すみませんでした!!」
素早く……それでいて、直角のお辞儀をシラに決めて謝った。
「いいえ、ミリカさんは悪くありません。私の想定が甘かったのです。なので、頭を上げてください」
シラはそう言って頭を上げるように促す。
「はい……」
ミリカは寝る前……つまり、気絶する前、練習時のシラがここで優しくすることが全く無い事は実体験から知っているミリカは、先程よりも厳しい何かをやるのでは無いかと恐怖からビクビクとしながら頭を上げてシラを見る。
ミリカはまだ記憶が混乱してるようだ。
「そこまで怖がらないでください……流石に傷つきます」
丁寧に分かりやすく教えているつもりのシラにとって、ミリカの怯えようは心に傷を受ける程の衝撃だった。
「あっ、えっ、えっと……」
悲しそうに呟かれた言葉にミリカはどう言葉を掛けたら言いのか分からなくて、アワアワとしどろもどりになりながらも必死に言葉を探す。
(な、なんて声を掛けたら言いの!?ま、まままずはどうしてシラさんが悲しそうにしているのか思い出さないと!!……何があったけ!?思い出しても何も出てこないよ!!これは他に原因があるんじゃ!?)
そう思ったミリカは部屋のあちこちを見回して見るが、それらしいのを発見出来なかった。
(うそ!?これだけ探して無いなんておかしい!!あの厳しいシラさんが悲しむ事が絶対にあるはず!!)
ミリカの中でシラの印象は鬼教官のような恐ろしい存在として定着してしまっていたのだ。そんな印象が抱かれているとは思ってもいないシラは、
(今度は目を泳がし始めました……私、そんなに酷い教育をしたんですね)
先程の怯えように追い討ちをかけるが如く、シラと目を合わせないようにか、目を泳がし始めたミリカを見てシラは、過去の自分の過ちを振り返り始めた。
(えっ!何でさらに暗い顔をしてるの!?)
そんな表情を見たミリカは原因がまったく分からない状況に心の中で叫んでしまう。




