光輝く
「む、無理です……もう…限界……」
あれから2、3時間後、なんとか覚えようと物凄く頑張って来たが遂に頭が覚えるどころか、考えるのを嫌がってしまい、ミリカはその場に倒れてしまう。
「判断を見誤りました……」
倒れたミリカに近づいたシラは意識があるかどうかを確認する為に、揺すったり、脈が正常か確認した後にそう呟く。
「もう少し簡単な所から始めれば良かったですね」
ミリカを抱き抱えたシラはポツリと呟き、休憩室にある寝台に運んで行く。
(昨日の覚えの良さに商品名と棚の位置もすぐ覚えると考えていましたが、少々厳しかったみたいですね。これは仕事に勧誘した者として、また、教育係としていけない)
申し訳なさと責任感から、なんとも言い表しづらい表情になっているシラは、自分の腕の中で気絶しているミリカを見詰める。
(もう少し簡単な物から……いえ、作業から覚えていただきましょう。大きく予定が変更するとして、何処を削りましょうか……)
運んでいる間も、シラは淡々と今後の練習予定を組み立て直して行く。
(商品名はゆっくりと覚えさせる事にしましたので、これは削っても特に問題は無いです。しかし、これだけでは足りません。後少し足りませんので何処かを削りましょうか……)
シラはミリカを抱き抱えているにも関わらず、不安定さを一切感じない足取りで休憩室に辿り着く。
「もう着いてしまいましたか……」
シラは何処か残念そうな声を漏らして休憩室に続く扉を開ける……
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「これで行きましょうか」
ミリカを寝かせてから暫くして、椅子に座り目を瞑っていたシラは一度頷くとそう言って目を開けた。
(まだ起きる気配はないですね)
チラリっとミリカが起きているのか確認した後、何か気になる事でもあったのかシラはスッと静かに立ち上りミリカに近づき、顔を覗く。
「2、30分で目を覚ましますか……」
どのくらいで起きるのか分かったシラは姿勢を戻して、思案顔をして考える。
(確実とは言えませんが、物を取りに行く時間はあります。しかし、私が居ない間に起きてしまった場合、混乱する可能性があります。ですが、時間を無駄にする訳にはいきません。ならば、ここは取りに行くのが正解です。なのに、どうして私の体はここから動けないのでしょうか?)
あれやこれやと自分を納得させる理由を並べるが、ピクリとも……そう、まるで、ミリカから離れたくないとばかりに動かない自分の体にシラは困惑する。
「どうなっているのですか……」
真面目そうな顔が驚き、混乱、困惑……そして、体が思い通りに動かせないと言う状況から沸き上がって来る恐怖。それらが混じりあった複雑……いや、形容し難い表情をしたシラは、原因と思われるミリカを見ると、
身体全体が光に包まれて……いや、これは、ミリカが光を発しているのだ。
「何が、どうなって……」
人が光を発するなど聞いたことも無いシラは、ただただ呆然とその光景を眺め続ける。
ふと、自分が抱く男の娘の理想像とは何ぞや?と言う問い掛けみたいなのが発生したので読者の方にその問い掛けをそのままします。
あなたの抱く男の娘の理想像は何ですか?




