洗剤怖い
前話から繋がってる筈なんですけど、おかしな事になりました。
「それじゃあ、また明日」
「はい、また明日」
手を握り合った二人はそう言って、別れる。厨房先輩は、宿屋の出口に向かいながら後ろ手でバイバイと振り、ミリカも手を振るい、厨房先輩が見えなくなるまでミリカは手を振るい続けた。
「良かった」
見送り終わったミリカは、許してもらえた事にホッと安堵し、小さくそう呟く。
「よし!洗うぞー!」
意識を切り替える為か、器を持っていない方の手でオーっと拳を上に伸ばして元気よく宣言して、厨房に入って行く。
「ふっふっふ~~!」
入ってからは周りに誰も居ない事を良い事に、鼻歌を歌いながら洗い場に向かい、洗い場に器を置いた後からは歌を歌い始める。
「まっずは~~洗っ剤を~~……」
ミリカは頭の中に浮かんできたテンポに合わせながら歌を歌いながら洗剤を取ろうとしたが洗剤が無く、歌が止んでしまう。
「どれ何だろう?」
初めて使う場であり、洗い場には何に使うか分からない物が沢山あって、どれが洗剤なのか分からずミリカは悩む。
「う~ん……」
(全部試して探したいけど、被れたりするのがあるかも知れない。だけど、色々試さないとどれが洗剤か分からない。うぅ~~どうしよう!!)
家の家事を担当するミリカは、一肌についたりすると危ないのがあると分かっているからこそ、洗剤だと思わしき物に触れずに悩み続ける。
(でも、何もしないままだと洗えないまま……家事をする私にとって、それは許せない!でも、うぅ~~!……ッ!ここはもう被れたりしないことを祈ってやるしか無い!)
危ないと言う自分と、やらないと家事をやる者として駄目!と叫ぶ自分……二つが鬩ぎ合ったが、辛くも『洗わ無いと駄目!』が勝ち、ミリカは洗い場にある洗剤を片っ端から試して行く。
「これは違う……これも違う……あれ?空?」
何個か試して行くと、逆さまにしても振るっても何にも出てこない洗剤があり、ミリカは蓋を外して中を覗いて見る。
「中に何かは入ってるけど、固まってるのかな?」
ミリカの言う通り、中には確かに白色の何かは入っているのだが、固くなっており、暫くの間使って無いように見られた。
「これは違うってことで良いのかな~~?」
中を覗いたままウンウンと悩み、考える。
「でもやっぱり、固まってるから違うか……」
しかし、それもすぐに答えが出て、その洗剤だろう物を戻して次の洗剤に移る。
「これはドロッとしてるから違う……えっ!サラサラしてる!!これは違う!!……あっ!これはそれっぽい!」
それからまた何個も試すとそれっぽいのを発見し、ミリカはさっそくそれを試して見た。
「おお~~!!これだ!!」
洗い物ようの布巾に洗剤をつけて器をゴシゴシ擦ると汚れがどんどん落ちて行き、元の真っ白な器に戻って行く。
「これは中々に侮れない!」
家で使う洗剤も汚れが落ちる事を売りにしてる洗剤であり、それを愛用しているミリカを持ってしても、今使っている洗剤はそれに勝るとも劣らない程に、汚れが落ちるのだ。
(家に持ち帰りたい!でも、ゲームの中だから持ち帰れない!)
器を洗った後はスプーン等も洗うが、その度に、洗剤の汚れ落としの良さに、ミリカは嵌まって行く。しかし、それを堪能出来たのも少しだけ、洗い物が無くなったミリカには、その洗剤を堪能出来ないのだ。
「もう、終わっちゃったの……」
気に入りすぎたのか、ミリカはとても残念そうに呟いた。
「……女将さんに、洗い場の担当して貰えないか今から聞きに行こう」
暫くの間、気に入った洗剤を見詰めて思い悩んでいたかと思うと、唐突にミリカは決心を決めた表情でそう言う。
「洗剤さん。待っててね!」
遂には、洗剤に『さん』付けをして敬い始める始末。ミリカは気に入った洗剤にそれを伝えてすぐに、女将を探しに向かうのだった。
書いてて気づいた事なんですが、この作品って結構設定とか穴だらけですよね。その穴をどう埋めようか考えながら書く必要が出て来てから気づくって遅いですよね……はぁー、設定って大事
追記
誤字脱字を見つけたら報告してくださるとありがたいです!!




