戦い、始まる
(どうしよう!助けに来た騎士団長はあっさり倒されてしまった、誘拐犯が見逃してくることに賭けるか?いやいや、絶対にそれはない!本当、どうしよう?!でも、一応見逃してくれるか聞いてみる?うん、聞いてみるか)
「あの~」
「なんだ?」
「見逃してくれたりしませか?」
「はぁ?!俺の顔を知ってる奴を見逃す筈が無いだろう」
「そうですよね~。では私たちをどうするつもりですか?」
「決まっている、人質として連れて行きたい所だが、抜け穴は人一人がやっと通れる道なんでな。貴様らは今ここで殺していく」
「ですよね!でも、そこをなんとか出来ませんか?」
「あるぞ、貴様らが俺の奴隷になればな」
「いや!それはいや!さっきのはなかったことにして」
「そうか、残念だ。それがダメなら貴様らを殺していく。それに、そろそろ逃げないと騎士団がここに、突撃してくるからな」
そう言って誘拐犯は私たちに向かって来た
(ヤバイ!本当に私たちは殺されてしまう!何かないか!この状況から脱出する方法が!)
周りを見渡してみるが状況から脱出できるヒントは見付からなかった。
探している間に誘拐犯は目の前に迫ってきていた。
(もうダメ!)
目を瞑り死を覚悟した……が、一向に死が訪れることはなかった。
いつまでたっても何もなかったので、ミリカは気になり恐る恐る目を開けた
そこには…
(えっ!え!何これ?!)
目の前に広がっていたのは、心臓を貫かれた誘拐犯と貫いた本人の少女がいた
(え!あの少女、さっきまで気絶していた少女だよね?えっと、どういうこと?)
「あの~すいません、貴女さっきまで気絶していた少女ですよね?」
「?気絶?してないけど」
「えっ!でも誘拐されたとき倒れていたよね?」
「ん?ん!あれは演技、ここ最近誘拐が頻発していたからギルドから私に指名依頼、来ていた。その調査のためにわざと気絶していたフリをしていただけ」
「そうなんですか。でも、口元に涎がついているのでもしかして寝ていたのでは?」
「ん?!寝てなんていない!」
(いや、でも、今、涎を拭ったよね?まぁ、いいか。それより依頼は誰かしたのかな?)
「あの、貴女に依頼した人は貴族では?」
「?確かに、そうだけど。何故知っているの?」
「いえ、誘拐犯に依頼した人が貴女を捕まえろと言っていましたから」
「そう、私は罠に嵌められた、と言うことか」
「怒りが沸いてきたりしないんですか?」
「無いとはいはない。それよりも、私が調べることを怠ったことが今回の原因」
「すごいですね、私では考えられません」
(私だと調べることはせずに突撃しちゃうからしな。考え方を変えれば今回みたいなことも無くなるかな?)
「考え方は人それぞれ、だから気にしない」
「え!何で悩んでることに気付いたんですか?!」
「貴女は顔に感情が出ているから、すぐ分かる」
「よく言われます。どうにか出来ないでしょうか?」
「ムリ、それは貴女の可愛いところだから」
「それ、褒めてます?」
「?褒めてる」
「そうですか、ありがとうございます」
「ん!どういたしまして。それじゃ、脱出しよう」
「どうやって?」
「正面から」
「外には敵が一杯いるよ。どうやってそこから脱出するの?」
「正面突破」
「無理だから」
「私、上級職」
「え!上級職なんですか?!」
「そう、だから相手が上級職じゃない限り私に負けはない。安心して大丈夫」
「それならば、確かに大丈夫でしょうけど、私を護りながら戦えるの?」
「ん!大丈夫。心配なら私の背に乗るといい」
「え、でも…女性におんぶされるのは男としてのプライドが許さない……」
そうな時、外から複数の足跡が響いてきた
「頭!騎士団の奴等が突撃してきた!どうすれば……!か、し、ら……貴様らか、頭を殺したのは貴様らか!!」
「そう、私が殺した」
「そうか、おい!お前ら!頭の敵討ちだ、殺せ!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「オォォォォオーー」」」」」」」」」」」」」」」」」
「貴方たちを倒し脱出させてもらう」
「えっ!え!えぇぇぇー」
こうして、地下牢での戦いがまた始まったのだった
誘拐犯、頭の勘違い
騎士団長=騎士団に囲まれている
実際は
騎士団長は騎士団、置いてきぼりにして突撃してきた!バカ




