第70回「怠惰という言葉を使わずに怠惰を表現せよ」
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くまくま17分
陽春。
窓から差し込むぽかぽか暖かい日差し。
目覚ましのアラームが朝の訪れを告げる。
起き抜けの布団の中は自身の体温でほかほか温かい。
腕を伸ばしてスマホのアラームを止め、
「あと、五分……」
亀のように布団の中へ顔と手足を引っ込め、微睡みの心地よさに身も心も浸し、春眠を堪能する。
そして、今日も遅刻ギリギリになった。
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蒼堆 こなゆき
やってしまった。
社外持ち出し禁止のUSBメモリを、俺は胸ポケットに入れたまま帰宅してしまった。
まぁ、明日にコソッと戻しておけばいいか。
次の日、USBメモリがどこかへ行ってしまった。
大丈夫、パソコンにデータをコピーしてある。
――ファイルが暗号化されていた。そういえば、侵入してきたウイルスを放置していたのだったか。
どうしようもない。これは。
とりあえず、会社に現状を報告して謝罪を入れることにする。恐らく裁判沙汰になるだろう。
俺が会社に電話をする為に手に取ったスマホは、電池が切れていた。
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