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第54回「物凄ーーーーーーーーーーく五月蝿い音を表現せよ」
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髭虎
音が降ってくるとはこういうことを言うのだろう。暴力的な重低音が、私を押し潰さんと襲い掛かってきた。
それはまるで重力がいきなり増加したかのようで、圧迫された脳みそは必死にこの空間の出口を探そうとする。
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くまくま17分
寸での所で射線をかわし伏せる。
直後、至近距離で大砲が火を噴いた。
砲身から放たれる余波。
そして砲音ーーー耳をつんざく程の。
それは最早、音というより空気の衝撃波。
鼓膜どころか全身に震動が叩き付けられた。
衝撃の奔流に堪えきれず、身体が宙に投げ出された。
無音。
鼓膜が麻痺して耳が音を拾わない。
衝撃波と豪風が吹き荒れる静寂の中を木葉の如く揺蕩う。
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