第52回「モフモフという言葉から連想される情景を描写せよ」
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髭虎
ここはモフモフ畑。
ここでは地面に咲いているモフモフをいくらでも収穫することができますもふ。収穫したモフモフは持ち帰っていただいて構いませんもふもふ。
羊のようなモフモフも、コーギーのお尻みたいなモフモフも、地面に咲いたモフモフは選り取り見取りの取り放題!
ただうっかり踏んづけちゃわないようにだけ注意もふね。
さぁ、同志諸君! このモフモフ畑で時間の許す限りモフモフを楽しむもふ!
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aka
締め切った窓辺のヘリに居座り、秋の山を眺める。
山肌は生い茂った木々に覆われ、そのどれもが紅葉を迎え、夕焼けのように色づいている。
「ただいまー」
玄関から女性の声がする。この部屋の主の帰還である。
白い毛並みのネコはストンと床に着地すると、声のした方へと駆けていく。
彼女は片手にショルダーバックをひっかけながらネコを抱き上げる。
コートのざらざらとした心地よい感触が厚い毛皮を通して伝わってくる。
ああ、ずっとこうしていたいな。
ネコは彼女の顔をふと見上げた。
しかし、彼女はどこか悲しそうな表情を浮かべている。
ゆっくりと、季節が彩りの秋から終わりの冬へと変わっていく。
余命まで、あと一か月を切っていた。
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くまくま17分
黎明。酷寒の冷気が空を凍てつかせる中、東の地平より太陽が昇り始める朝方。
雪の帽子を被り軒先に氷柱を並べる街並み、その外れにある駅逓。
そこで少女が黄色い歓声を上げた。
「ふわぁ~! モッフモフだ~:notes:」
純白の体毛を持つ大きな狼、白狼。
少年の前で少女はその一頭の首根っこに抱き付き、綿雪の様な柔毛に顔を埋める。
この地での越冬は初めてなので足が無い。
そこで、二人は白狼を買い求めに来た。
馬力では馬に劣るが、雪上での走破性は較べるべくも無い。
「うりうり:notes:」
頬を上気させ、屈託の無い笑顔でじゃれ付く少女。
それを迷惑そうに目を細める白銀の狼。
(嬉しそうだな)
その様子が何だか微笑ましくて、思わず少年は顔を綻ばせた。
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