第49回「めっっっっっちゃ速く駆ける(飛ぶ)様子を表現せよ」
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くまくま17分
抜ける様な蒼穹の下、瑞々しい新緑の草原を駆ける一陣の疾風。
白銀の鬣を靡かせ、蹄鉄で草の上を跳ぶ駿馬。
その鞍に跨がるのは一人の少女。
「…………っ」
胸に込み上げた逸る気持ちをぐっと堪え、気丈に手綱を握り草原を切り裂く。
手綱を強く引き鞍から腰を浮かせ、速く駆けろと馬に檄を飛ばす。
もっと、もっと。限界まで。
轟々と猛る風圧の壁を切り裂き、飛びすさる周りの景色に目もくれず。
一心に一騎は疾風となって新緑の海を翔んだ。
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aka
夜。暗雲が空を覆った、じめついた夏の都会。
ごおー、と換気扇のファンが、ビルの合間で生暖かい空気を吐き出しながら回り始める。
毛羽立った竹箒を担ぎ、前を見据える黒い制服のショートカットの少女。
軽く手で髪を後ろにとかし、箒に跨る。
柄を握る細い両手に力が入った瞬間、箒がしなり、両足が浮き上がると、一気に空へ舞い上がった。
電波塔の隙間、ビル屋上のヘリポート、裏路地の間、と次から次へと器用に飛びぬけていく。
耳に届くのはただ風を切る音のみ。
よそ見をする暇はない。
最後のビルの間をぬけたところで垂直に急上昇する。
雲に近づきすぎると雷にやられてしまいそうなのでそこそこにしつつ、ゆっくりと減速していく。
下界を見渡すと、まるで街の灯りが頭上にあるはずの星たちのように輝いている。
彼女はしばらくそこに留まったあと、ぱっと夜闇へ消えていった。
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ぺぽ
夜。暗雲が空を覆った、じめついた夏の都会。
ごおー、と換気扇のファンが、ビルの合間で生暖かい空気を吐き出しながら回り始める。
毛羽立った竹箒を担ぎ、前を見据える黒い制服のショートカットの少女。
軽く手で髪を後ろにとかし、箒に跨る。
柄を握る細い両手に力が入った瞬間、箒がしなり、両足が浮き上がると、一気に空へ舞い上がった。
電波塔の隙間、ビル屋上のヘリポート、裏路地の間、と次から次へと器用に飛びぬけていく。
耳に届くのはただ風を切る音のみ。
よそ見をする暇はない。
最後のビルの間をぬけたところで垂直に急上昇する。
雲に近づきすぎると雷にやられてしまいそうなのでそこそこにしつつ、ゆっくりと減速していく。
下界を見渡すと、まるで街の灯りが頭上にあるはずの星たちのように輝いている。
彼女はしばらくそこに留まったあと、ぱっと夜闇へ消えていった。
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