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第25回「比喩を使って美少女の魅力を表現せよ」

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十六夜月


 疲れからか黒塗りの高級車にぶつかった俺。


 当然入院といいたいんですが、本当にとんでもない大富豪の車にぶつかってしまいなんとその大富豪の息のかかった病院に緊急入院。


 支払いだけでなく何もかもが自由に暮らしてた、はずだった。


「……大丈夫ですか?」


 ……月に叢雲華に風だっけか? この大富豪の娘が超絶可愛いんですけどぉぉぉぉぉぉぉ! ?


「あ、あの?」


 なんだよもう! 御年二〇歳になるお兄さんの精神を壊す気か!? こんな太陽のような可愛い顔の子がいっつもいっつもお見舞いに来るとかおかしいだろ! ?


 しかもさぁ! この子普通に礼節もいいし! 庶民だと思って馬鹿にするどころかむしろ興味津々だし!


 挙げ句勉強を俺に教えてくれと来た! こんなの理性がぶっ壊れるだろ!


 えーとこの状況を比喩的に例えるならば? 「天は災難を与えるどころか恩恵を与えてくれた?」っていうべきなのか?


「……もしもーし?」


「あぁ、すまないね。要件は」


「勉強……教えてくれませんか?」


 そして、今日も勉強を教えるのだった。……けど入院してると仕事俺どうなるのか? そこは怖いながらも考えないことにした。


______________________________


中村ケンイチ


 そこには、ソファに座って本を読む幼い女の子の姿があった。

 一瞬、現実感を失いそうになった。

 まるで、絵本から抜け出してきたかのような少女だった。

 それも、王子様とかお姫様が出てくる童話の類。

 少女が着ているのが見事なドレスであることも理由だが、無論、それだけはない。細い手足も、薄い唇も、伏せられた眼差しも、白い肌も、全てに気品あり、どこかの貴族娘のようにみえた。


______________________________


髭虎


 僕のクラスにはマドンナがいた。

 楚々とした感じの子で、次の年には別の県に引っ越してしまってそれきりけれど、彼女の顔が今でも脳裏に焼き付いている。


 彼女は決して怒らない。

 どんな悪戯をされても困ったような顔で、仕方ないなぁ、と微笑むだけ。それが良いことなのかは別として、その顔があまりに綺麗なものだから。男子もまたこぞって彼女にちょっかいをかけたのだろう。


 僕はそれをいつも遠くの席から眺めていた。

 怒ればいいのに──自分自身、怒るのが苦手なくせに僕は思った。同時に共感もした。何か目立たずに助けられる事はないかと探し始めたのもその頃からだ。


 そんなある日、彼女とはまた別の、女子のリコーダーが無くなった。

 クラスではもちろん犯人探しが始まり、しかし結局犯人は見つからなかった。そして放課後、みんなが帰った後もその女の子と一緒になってリコーダーを探し回る彼女を見かけて。

 あぁ、これなら! ──そう思った僕は、彼女たちをこっそり手伝うことにした。


 たぶん、このときちゃんと声をかけていれば違ったのだろう。

 人見知りで、目立つのがキライだった僕は彼女たちに何も言うことなく一人でリコーダーを探し──


 そして見つけてしまった。


「何してるの、田中くん……?」


 背筋が凍る思いだった。鈴の鳴るような声に振り返れば、そこには案の定 “彼女” がいて。


「え、あっ……いや、これは…………」


 いきなりのことに言い訳もできない僕を見つめて、彼女はこう言った。


「──ヘンタイ」


 そこからの記憶は曖昧で僕はいったいどうやって家まで帰ったのか、それすら全く覚えていない。


 ただ、彼女の底冷えするような顔が今でも脳裏に焼き付いている。まるで氷のような視線だった。生きる価値のないゴミを見るような目だった。

 そこには普段とのギャップもあったのだろう。家に帰っても心はどこか浮ついていて。


 そしてその夜、中学生だった僕はそのとき初めて──夢精した。


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くまくま17分


 まるで、抜き身の刀。

 彼女を初めて見た時、そんな印象を抱いた。

 雰囲気が剣呑なのとは違う。冷たく、鋭い。

 凛とした立ち居振舞いには隙がなく、端正な目鼻立ちと顎のライン。屹然とした眼差しは怜悧で射抜く様に鋭い。

 そんな完全無欠な彼女が、猫を前にして目尻を下げ顔を綻ばせ猫なで声を発しながら猫っ可愛がりする姿を見て、思わず胸が高鳴り恋をした。

 ギャップ萌えだった。


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