第20回「『月が綺麗ですね』に返答せよ」
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orion1196
知ってますか? 月って太陽がないと輝けないんです
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クマバチ
「月が小さすぎて見えなぁい! !」
「恒星も! 衛生も! 惑星も! 一等星も! 小さすぎて見えない!」
「でも、ハズキルーペをかけると、世界は変わる。大きく見えるんです! !」
「月が綺麗ですね!」
ハズキルーペをかけてざわめく周り
「「凄い!! はっきり見える! !」」
「ちょっと見ておいてくださいね」
ハズキルーペの上に座る
「凄い! 壊れない!」
「この強度、流石メイドインジャパン……!」
涌き出る様な歓声
『──凄いぜ、ハズキルーペ』
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NS
「おぅ!分かるか兄ちゃん。いい卵使ってからなぁ!」
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あけ
え、今夜は新月ですよ?
月は見えてません
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髭虎
星も綺麗ですから、よく見てあげてくださいね
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タコか箱か
私は目が見えないのでよくわかりません。ですが、貴方と見るのならそれはきっと美しいのでしょうね
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小鳥遊賢斗
「ええ……行き先を見失うようなどんなに暗い夜でも、優しげな光で、柔らかく暖かく、足元を照らしてくれる道標……あなたによく似ています」
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くまくま17分
澄み渡る空に満月が浮かんでいる。
こんな夜は出歩きたくないのに。
頭の中で『あの日』の事が嫌でも甦るから。
大事な用があると言われたら仕方ない。
少女は独り、約束の場所へと歩く。月に顔を背けながら。
ほどなくして、青年と合流。
俯きがちで良く解らないが、どこか所在なさげだ。
「それで、用とは何ですか?」
「えっと、その………」
早く済ませて帰りたいのに。歯切れの悪い言葉で中々核心に至らない。いい加減腹に据えかね、
「特に用が無いなら帰ります」
「ちょ……っ」
踵を返して立ち去ろうとすると、
「つ、月が綺麗だなって。それで君を連れ出したんだ」
あらんかぎりの声を夜空に響かせた。
その台詞を聞いた瞬間、カッと目を見開き、胸の奥底から体が焼け付くような怒りがーーいや、身体を焼き尽くさんとする炎のような激情が噴き出した。
「………嫌い」
「は?」
「嫌いです」
「え…………」
憤怒に狂った顔を向けると、青年は絶句した。
月が嫌い。満月の夜が、それを見るとどうしようもなく嫌悪感が沸いて来る。
何故なら思い出してしまうから。
少女から家族を奪った『あの男』の事を。
あの満月の夜、少女は全てを奪われた。
だからこそ誓った。復讐を。
そして手にした。果たす為の力を。
今日、確信した。
復讐を遂げるまで、月夜を好きになる事はない。
復讐の炎は熾火のように胸の中で燻っている。復讐を果たすまで、いつまでも。
「失礼します」
空を仰ぎ天に昇る月を睨み付ける。少女を照らし出す満月に復讐の相手を重ねながら。
少しの間そうした後、今度こそその場を後にした。
地面にくずおれる青年を残して。
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十六夜月
「パパーあのつききれいだねー」
「おっそうだな」
「けど月にはキチガイ」
「やめないか!」
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