第19回「『水』という言葉を用いずに水辺の景色を描写せよ」
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くまくま17分
沈みゆく夕日が黄昏時を金色に染め上げる。
眩い斜陽が揺れる海面に煌めき、夕暮れの波打ち際は光輝く黄金の花園へと姿を変えた。
その中に少女が一人、打ち寄せる漣や飛び跳ねる飛沫と戯れていた。
浮かべた無邪気な笑顔はあどけなく。
されど黄金の花園よりも眩しく鮮烈に輝いて見え、砂浜で少女を眺める自分はその姿にどうしようもなく心を奪われた。
夕日と海が放つ金色の光に包まれながら笑みを輝かせて無邪気に遊ぶ少女。
海鳥も飛び去った後、波音だけが静かにこだまする。
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くまくま17分
厳寒が到来した北の海
薄雲立ち込める空は白く、彼方の果てまで白濁に染める
ゴウゴウと轟く寒風が冬の冷気を肌に突き刺し、ザンザカと荒れ狂う白波が飛沫を叩き付けて来る海岸
男は風と波に凍えそうになりながら、果ての先を睨み付けていた
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NS
私が油であったなら、私が油であったなら。
そよ風は吹き荒ぶ、影からヒソヒソ吹き荒ぶ。背けて仰げば太陽が、「君は燃えない干上がるだけ」と、知ったような口を利く。見下ろせばユラユラ映る私が「嘲ることを覚えろ」と分かったようなことを言う。
体を倒せばいい。
濁らせてしまうのが怖い
体を倒せばいい。
溺れられない弱者の性よ
体を倒せばいい。
私はきっと溶け消える
私が油であったなら、ジャバンと落ちたその先で、在り続けられるものを。
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