第124回「明という言葉を使って暗闇を表現せよ」
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くまくま17分
広大な洞窟を支配する、一筋の光明も絶えた無辺の暗黒。
その中を光源も無いまま進む。壁伝いに歩ける訳もなく、ただ石くれが散乱する漆黒の伽藍堂の回廊を踏みしめる。
岩壁からの圧迫は無い。
しかしここでは闇が実体を持ち、煙のように纏わり付き、重荷となって身体にのし掛かり、真綿のように胸を締め上げてくる。
頼れる人も居ない独行では、孤独感が喉元まで込み上げて来る。
それでも、進む。
進まなくてはいけなかった。
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隻迅☆ひとみ
明治の発展に尽力した闇の人物は産業革命の裏の顔を持ち、未来への確かな闇を担っている。
それは時代の発展に灯した力で、人の姿という影もまた、大正と昭和へと引き攣っていくのである。
渋沢の裏を隠せば、日本という暗闇から明る英雄譚の誕生は誰の物。
真っ黒に染まったる。その明かりは平成を肥えて令和に光るが、人は目を向けない世界。
戦後を踊らば、今も踊る戦後よ。その戦後は戦前に戻る悪事である。
みよ、彼は記事を書き続ける。
金の流れは常に闇へとながれるものだ。
平和の裏に潜む作られた平和の醜さ。それは常に力を欲する。
明るい闇の大都会は煌びやかだろうか?それとも暗闇であろうか?
闇を吹き出せ、そこはもとより黒い。まるで黒インクを倒し、デスクライトが反射する光を見るような世界なのだ。
その瞬間こそ、彼は現れる。
「なぁ、明日のコロナの記事さぁ、ちょっと短くねーか?」
「いや、いいんだよ、あんまりこまけーことやるなって上の指示だ」
「僕、タバコの本数ふえそう」
「こっちも酒の本数がふえたさ」
はははは。
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