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第115回「疾病という言葉を使わずに病を表現せよ」
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wargaming pikachu
「先生、私は病気です」
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くまくま17分
ベッドに横たわり、ぼんやりと部屋の天井を眺める。
「ダルい……」
少年の干からびた喉から、嗄れた声を絞り出した。
全身を苛む倦怠感と関節の痛みが寝返りすらも億劫にする。
インフルエンザ。ここ数年罹った事がなかったのですっかり油断していた。
この分だと自室まで見舞いに来てくれる人なんて皆無だろう。
発熱と頭痛に悩まされる頭で孤独な戦いを密かに決意した。
「失礼します」
少女の玲瓏な声音がドアの奥から響き、ガチャリとドアノブが鳴って開かれた。
「具合はどう?」
入ってきた少女が首を傾げ微笑を湛えて訊ねて来る。
整った鼻梁と大きく円らな瞳、そして背中に掛かる艶やかな黒髪。
クラスのマドンナが少年の見舞いに来ていた。
委員長でもないのにどうして?
余りのできごとに身体のダルさも忘れて飛び起きた。
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