第10回「天体や天体現象をモチーフに美少女を描写せよ」
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くまくま17分
血の滴る紅い月。
その少女を一言で形容するなら、それが相応しい。
端正な面差しで艶然と嗤う少女。
狂気に彩られた獰猛な笑みは美貌と相まって、向けられた相手を震撼させる程の迫力を持ちながらどこか蠱惑的で妖しく惹き付ける。
その狂気的で妖艶な笑みを湛えた眼差しに射竦められ、心をなぶり回すように激しく揺さぶられた。
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おおまか良好
夜空を照らし、周回を続ける天体が思わず息を止め見惚れているのかと、錯覚すら覚える妖艶さに、呼吸をするのを忘れ、
ただただ目を奪われた。いや……この時すでに、心も奪われていたのかもしれない。
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ニトセネ
どこか見知らぬ学校から転校生がやって来るそうで、その女学生が不幸を招くと大半が信じていた。そんな馬鹿なと思うだろうが、本当に信じていた。その日が来るまで、小童共は煽りに煽り倒したのだ。
そして運命の日、学生はその美しさに目を奪われたのである。もちろん、災厄など起こらない。
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髭虎
星が降る、そんな夜。いつかの冬を思い出す。
あの日。どこまでも吸い込まれそうな闇の中。流れる星の儚さに、君は何と言ったのだったか。
私も老いたものだ。そんなことすらもう思い出せない。
「もうすぐ……会いに、行くよ」
病に細った身体で、それでも健気に泣きながら笑う君だけが──
「──ステラ」
まるで闇に輝く雫のように、私の記憶に焼き付いている。
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