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舞台裏の踊り子・3

新書「舞台裏の踊り子」3(カッシー)


《夜毎に狂おしく

訪れていた魔物の姿


私の胸を引き裂き

心に爪を立てる


魔物は私を苦しめる


だが魔物がいなくなれば

私の心の血は滞り

やがては死に至るだろう


魔物は私を苦しめる


その忌まわしき名は――》


拍手が聞こえた。ハバンロとラズーリがいた。

「さすがですな。歌で殺されそうなくらい、凄かった。」

とハバンロが言った。誉めてくれるのはわかるが、もっとましな表現はないのかしら。

「やっぱり、そっちが本職だね。こう、恨み辛みが切々と伝わってきた。」

貴方もね、ラズーリ。

「これ、一応、恋の歌よ。」

あたしが言うと、二人とも目を丸くした。

「まあイーナ・ウォンなら、第一声から、呪いと同時に、恋も表現したんでしょうけど。」

二人とも、きょとんとしていた。イーナ・ウォンを知らないようだ。

「セートゥの、ううん、チューヤの史上最高のソプラノよ。西方歌劇が得意で、『魔女王メルセデシア』『巫女ノーマリア』『紅椿の涙』とかね。難曲ばかりだわね。

コーデラにも来ると言ってたけど、直前に亡くなったわ。セートゥが真夏の時は、地方都市でも歌ったこと、あるわ。ポゥコデラで客演した時は、コーデラの貴族が押し掛けて、侵略戦争かってくらい、凄かったらしいわ。

今は生誕祭だから、あちこちで彼女のレパートリーが上演されてる。演じるほうは、ヤジを覚悟でね。」

それでも、プリマドンナに畏敬を現して。

ハバンロは、母から聞いた事がある、と言った。ラズーリも、名前だけは、と言っていた。

やれやれ、後で、ファイスと話して見ようかしら。彼も大概だけど、恋と呪いに関しては、グラナドの次くらいに、分かっていそうだ。


だけど、、あたし達は、そういう話をする余裕なく、次に進まざるを得なくなった。


恋か、呪いか、別の何かをうち払うために。


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