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孤児から始まるinファンタジー  作者: 風風
第一章 
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外01 アンとの出会い(マイク)

 孤児のガキなんて、どうしようもない見捨てられた存在だ。


 親に死に分かれ、捨てられた子供が必死に寄せ集まって、なんとか生きているっていうのに大人たちは平気で食料を住処を仲間(子供)を奪っていく。


 だから、俺たちは必死で逃げて、隠れてこそこそと暮らしていかないといけない。


 ふざけんじゃないぞ! 俺たちも必死に生きてるんだ!


 …でも、いつかは俺たちも大人になって、奪って、捨てる存在になるのかなぁ。


 俺より年上だった兄貴たちも冒険者になると、俺たちを捨ててどっかへ行っちまった。


 だが、俺は仲間を見捨てないぞ。

 皆を面倒見れるように、冒険者になって金持ちになり上がるんだ。


 そんなのごくごく一部の成功者しかなれない夢物語だって?

 なった奴がいるのに俺になれない理由はないだろう。

 絶対強くなって仲間を守るんだ。シーナを薄汚い大人に取られてなるものか。




 それに、運は俺たちに向いていると思うんだ。


 寝床を大人に取られた後、次の寝床を見つけようと探していると、たまたまシーナが見つけたのが大きな屋敷の廃屋だった。

 

 子供ぐらいしか通れない塀の穴を通って空き地と廃屋を見つけた時、ここは俺たちの楽園になった。


 ここは天上の楽園ヴァルアセスなんじゃないかと思ったね。

 

 屋敷は人気がなく固く閉じられていて入ることは出来なかった。

 無理に開けたり壊したりはしなかった。ああ言う立派な物を壊せば後が怖いからな。

 廃屋ぐらいなら目くじら立てられることもないだろう。

 空き地の隅にあった廃屋を寝床に使って、十分生活することができた。


 小さい子や狙われやすいシーナはここから出ないように言って、俺やリックが残飯回収に回れば、危険も少なく行動することが出来るようになった。


 そして手分けして動いてるときにアンに出会った。


 路地裏の隅に縮こまっている小さな子供はボロい服を着ていたが、小汚くなかったから捨てられて間もなかったのかもしれない。

 声を掛けたが、よく分かっていない顔をしていた。

 捨てられたんだろうと思って、連れて行って面倒を見ることにした。


 事情も分からず捨てられる子供は多かった。

 何も知らずに大人について行くと、もっと悲惨な目に合うから、見つけたら俺たちが連れていく。




 シーナにちょこちょことついて行くアンを見ると微笑ましかったが、こいつが只者じゃなかった。


 シーナに色々と訊いたアンは、俺たちに冒険者のこと、ダンジョンのことを尋ねたが俺は答えられなかった。


 冒険者のヘイキンネンシュウとか知らねぇよ。

 ダンジョンの魔物の種類や弱点、適正人数パーティーとか言われても分かんねぇ。


 そう言ったら、ギルドに聞きに行こう。あわよくば冒険者になろうと言ってきた。


 俺が躊躇ってたことをあっさり言っちまった。

 いつかは冒険者になろうとは思っていた。


 だが、大人は信用ならないし、冒険者になってあっさり死んじまったら、こいつらを面倒見られる奴がいないと思うと怖かった。


 ああ……、俺も内心ビビッて怯えていたんだ。

 でも、怯える必要はないんだな。死なない冒険者になればいい。

 

 そう思ったら、スッと心が軽くなって、気が楽になった。

 アンは神様が俺たちに遣わせてくれた女神メェーテリアスなんじゃないかと思えてくる。

 こんな小さな子供が大人顔負けのこと考えられるか?

 天上の英知としか考えられない。


 まあ、でも、今は俺たちの仲間だ。

 一緒に生きる方法を探してくれるなら、ありがたい。

 


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