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孤児から始まるinファンタジー  作者: 風風
第一章 
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004 ダンジョンへ行く準備

 ギルドから出ると、マイクとリックは手に持つ鉄級許可証を見つめて、やっと冒険者になった実感が湧いたのか喜んで笑っている。


「俺たち冒険者になったんだぜ。これでダンジョンに入れる!」

「マイク待って。ダンジョンに入る前に魔物を倒せる武器は持ってるの?」

「ああ、ナイフなら持っているぜ」


 マイクが見せたのは錆の浮いた刃先がボロボロに欠けたナイフだった。

 その貧相な武器に落胆しながらリックを見ると、彼は手ぶらだった。


「まず、もっとまともな武器を見つけよう。リックの分も必要だよ」

「しかし、武器なんてゴミ箱に入ってないぜ。あっても大人達に取られちまう」

「武器がたくさんある所なら、私たちでも使える物があるかもしれない。鍛冶屋が集まっている場所に行こう」


 マイクの案内で鍛冶屋の多く集まる場所に向かうと、鉄錆びた臭いと石炭を燃やす煙、カンカンと鉄を打ち鳴らす音が聞こえてくる。

 裏路地に回ってゴミ箱を漁ると、捨てられた折れた槍や歪な棍棒、欠けた研石、皮鎧の切れ端などを拾い集める。


「食べ物がないから鍛冶屋のゴミ漁りなんてしなかったが、結構使える物があるもんだな」


 その日は武器のガラクタを廃屋に持ち帰り、ダンジョンに行くことはしなかった。




 廃屋に帰ると、欠けた研石で錆びたナイフを研ぎ、折れた槍の柄を削り直して短槍とした。

 幅広の板に皮鎧の切れ端を貼り付けて紐で縛って盾を作った。

 短槍とナイフをマイクが、棍棒と盾をリックが持ち、空き地で素振りの練習をさせる。


 最初はぎこちなかった動きも、数時間もすると滑らかになった。

 早くダンジョンに入りたいマイクを説き伏せて、次はラットを想定した訓練をする。

 

 地面を素早く動くであろうラットの攻撃を防ぎつつ攻撃できるように、遊んでいた子供たちをラットに見立てて訓練をしてみる。


 子供たちは武器を避けて身体に触れられたら勝ち、マイクとリックは避ける子達に寸止めで武器を当てれば勝ちと言う単純なものだったが、結果は子供達の圧勝で終わった。


 疲れて座り込むマイクたちを見て、思った以上に冒険者になる難しさを実感する。


 普通の追いかけっこ遊びをすればマイクたちの方が勝つのだ。

 それが武器を持ち、動く獲物を迎え撃つ立場になると、今まで活かしてきた逃げ足が殺され、使い慣れない武器を振り回されることで疲労が溜まってしまう。


 これで短槍や棍棒が当たらなければ、ラットに噛まれて病気になるんだよな……。


 武器を使い慣れるまで練習するのが一番確実だが、それまでマイクたちが待ってはくれそうにない。


 確実にラットの足を止める手段を考えた方がいいな。

 すると罠がいいだろう。

 餌で釣るのは時間が掛かるから、網でラットを絡めて止めて攻撃するのがいいだろう。


 その後、シーナに手伝ってもらって、その辺の紐を編んで網を作るとマイクたちに宣言した。


「明日私もダンジョンに行くよ」

「おいおい、アン。冒険者になっていないチビのお前じゃダンジョンには入れないぜ」

「ふっふっふっ、秘策があるのさ」


 困惑しているマイクに、私はニヤリと笑いかけたのだった。


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