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孤児から始まるinファンタジー  作者: 風風
第二章
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018 春来る

 廃屋を出ると暖かい風が頬を撫でる。空き地を見ると草木が芽吹き、花が色鮮やかに咲いている。

 私が寝込んでいた冬から数か月が経ち、春の季節になっていた。

 

 私が寝込んでいる間、マイクたちは地道にラットを倒してお金に換えていた。

 討伐数は減って、お金もわずかなものだったが、それでも薪や食料に変えて寒さや飢えに苦しむことはなかった。


 私も寝込んでいる間、だらだらと惰眠を貪ってばかりではない。下層の魔物の倒し方を模索していた。

 背中の痣が消えてダンジョンに入るお許しがシーナから出ると早速、試しに行った。


 二層目のスライムには鉄製の盾を使いつつ、長い棒を持参して魔石を弾き飛ばした。(これはマイクが一番上手に弾いていた)

 魔石が体内から出ると、スライムは形が崩れて死んでいた。


 三層目のラビットは、リックが盾で引き付け、マイクが短槍でラビットを転ばし、私が隠密で近づいて首を掻き切って殺した。

 ラビットのスピードに慣れるまで苦労したが、一人でマイクが避けて刺し殺し、リックが棍棒で殴り殺せるようになるまで先には進まなかった。


 四層目のバットは、私が買ってもらった投擲用のナイフを投げて天井から落とした所をマイクとリックが倒した。

 【夜目】スキルが上がり、暗闇の中でもバットの姿がはっきり見えるようになると、より正確に攻撃を仕掛けて倒せるようになった。

 

 ここまでが冬の間に行けた階層だ。

 四層目の魔物が倒せるようになると、稼げるお金も増えた。

 やっと三人でダンジョンに潜って、採算がとれるようになった。

 本来だと、それから武器や防具を充実させて下の階層を目指すのだが、私たちは孤児七人が食べて行くのでやっとだ。

 防具も成長期にはすぐ合わなくなるので買っていない。 

 武器はマイクの短槍とリックの棍棒をちょっと良い物に買い替えた。

 春になってゴミ箱漁りも続けている。




 成長期と言えば、リックが大きくなって廃屋に入る塀の穴に入れなくなった。

 今までも穴に入るのにつっかえて苦労していたが、大きくなるのも考え物だな。

 仕方がないので塀の上から梯子を垂らしてリックは上り下りしている。もちろん周辺に人がいないか確認して、梯子を使った後は撤去している。

 面倒だが他の人に見つかる方が問題になる。今の住処を変えたくはない。




 皆がちょっと大きくなって春になると、ダンジョン都市も再び人で賑わい出した。

 商人の馬車が行きかい、冒険者の喧騒が響き、酒場から音楽や歌が流れている。

 繁華街は相変わらず、にぎやかで、雑然として、人が多かった。


 そんな人々を横目に、今日もゴミ箱を漁り、食料を確保する。

 いつか、自分で食べ物を買えるようになればいい。

 今は子供で孤児で力も小さい。分からないことも多いけど、力を貯める時だ。

 

 ちょっとした成長を感じつつ、今日もダンジョンに行くのだった。

 


 

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