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孤児から始まるinファンタジー  作者: 風風
第一章 
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016 5層目

 5層目に入ると通路の様相が変わった。今までは整然とした通路に照明が壁に並んでいたが、5層目には足元に無数の穴があった。そこからスネイクが縦横無尽に這い出て来て、噛みついてくる。

 歩いていると突然、穴から出てくるのが厄介だ。

 しかも、ここは宝箱がある5番階層だ。

 宝箱は手のひらほどの小さい物が穴の中に時折見られる。

 もちろん無造作に穴に手を入れてしまうと、スネイクに噛まれるので迂闊に入れられない。


 今回の目的はスネイクを1匹でいいので倒して素材を持ち帰ればいい。

 そう思えばちょっとは気が楽になった。

 慎重に進みながら穴に気を付けているがスネイクが出てくる様子はない。

 そのまま曲がり角に到達する時に、足元からスネイクが出てきた。

 二メートル程の体長で大人の腕の太さはある。

 以外に太く、攻め方を考えていると、スネイクは「シャーー」と鳴きながら、こちらに近づいてきた。


「とりゃやぁーー!!」


 マイクが短槍を構えてスネイクを突く。しかし、スネイクはうねる様に短槍を躱した。

 そのままマイクに絡みついて締め付け、噛みつこうと口を開けている。


「リック! スネイクを殴れ!」


 リックが棍棒でスネイクの頭を殴り怯ませた。

 その隙に短剣を突き刺すが、皮の弾力によって貫けない。

 皮が斬れないなら、やわらかい所を斬ればいい。

 スネイクの牙に注意しながら短剣で目を刺せば、たまらずスネイクはマイクの拘束を解いて暴れ回った。

 私は振り回されて投げ飛ばされると壁に激突した。


 背中の衝撃と息が詰まって身体が上手く動かない。マイクとリックが攻めあぐねているのが朧気に見えた。

 打撃は効いていた。マイクと私で抑えて、リックが棍棒で殴り続ければいけるか?


「けほっ、……マイクは尻尾を抑えて! 私は頭を牽制する。リックは胴体を殴り続けろ!」

「おうっ!」「やってやる!!」


 血を吐き、痛みで鈍る身体を叱咤して、スネイクの目の前に陣取る。

 片目から血を流し、血走った目で睨みつけてくる姿は冷静さに欠けていた。動きも単調になって大振りだ。

 スネイクの攻撃を避けながら、胴体を殴り付けているリックに向かわないように斬りつける。

 リックが何回と殴りつけて動きが鈍ったスネイクは、最後の足掻きで私を丸のみしようと大口を開けて襲ってきた。

 私は自ら大口に飛び込み、牙を避けると短剣で喉奥を突き刺し、スネイクに止めを刺した。


 マイクとリックは私がスネイクに食べられたと思い慌てていたが、唾液に塗れながら私が口から這い出てくると安心したのか崩れ落ちた。

 危険なダンジョン内だというのに私も起き上がれそうにない。


 スネイクの素材を回収して何とか階段まで戻って、体力が回復するまで休んだ。

 マイクは早く戻りたいようだったが、私の体力が持たなかった。

 正直、痛みと怠さで眠くてしょうがないのだが、ダンジョン内で足手まといになるわけにもいかず、1層目まで最短・最速で戻って、よろず屋ボルディの隠し部屋を再び訪れた。

 

 

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