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トンネルの穴

作者: 神名代洸

そのトンネルは町の中にあった。ごくごく普通のトンネルだ。

昼間は交通量も多い。しかし、夜になるとこの道はガラッと様相を変える。

暗い暗い穴の中、何処までも続く道。

ある種の心霊スポットとかしていた。

何故ならそこでの事故率が高いから。

まるで引き寄せられるように事故が頻発して起きる。

そして、事故を起こした当事者に話を聞いてみるも皆決まって同じことを言う。

「目の前を何かが通り過ぎた。」と。

それがなんなのかはわからない。

でもね、黒い大きな塊だったという。けれども友達はそんな体験したことないと言う。

じゃあ、私だけ?


じゃあ試してみようと言うことになった。

友達の運転する車は軽自動車。乗り込んだのは全部で4人。もちろん運転手込みでだ。

まずは昼間。一度通って見たよ。

でもね、特に何もなかった。やっぱり暗くなってからかなぁ〜と思った私だが、友達の1人がこうつぶやいた。


「なんかいる…。」

「へ?何処に?」

「あんたの後ろ。荷台あたりになんか感じる。」

「ちょっ、脅かさないでよ。ビックリするでしょ?」

「確かに何か感じたんだ。嘘じゃない。」そう言う彼女は霊感を持っていた1人だ。

「やばいわ。ちょっと止めて。」

言われた運転手はすぐに車を止めたよ。路肩に駐車した。

霊感を持つ彼女は目を閉じ何かを探しているような行動をする。

「いた。」

「へ?何が?」

「禍々しいもの。これはそう…悪霊かしら。」

「え〜〜?大丈夫なの?」

「うん、平気。それよりも他早くまわろ?」


「あ、ああ。」


運転手はぐるっと回ってきた。

皆ドア側をじっと見ている。


「さっ、何もなかったから帰ろうか?」

「あんた何言ってるの?さっきも言ったでしょ?悪霊らしきものがあるのは確かよ。」

「じゃあ、その悪霊が悪さをしてるってこと?」

「ええ、そう。その通りよ。祓わないと。」

「へ?あんたがやるの?今ここで?どうやって?」

「こうやるのよ。」

彼女はそう言って数珠を手に唱えはじめた。

彼女の家は寺とは関係ないはず。どうして知ってるの?と聞きたいが、今は真剣にお経を唱えている真っ最中、邪魔をしないほうがいいと思った我々はそのまま黙って終わるのを待った。

20分ほどした頃、彼女は汗をかいてこう言った。

「もう大丈夫よ。」と。

同じトンネルを再度通った時には先ほどのような重い感じはなくなっていた。

ホッとしたよ。

彼女、霊感あるばかりではなく、お祓いもできるんだね、と。しかし、このことがのちにあんなことになるなんて思いもしなかった。



みんなで楽しくおしゃべりをし、食事をして帰る時、あのトンネルに差し掛かった。でももう怖いことないよねと友達の1人がいいながら運転席の方を向いた。

運転していた子は真っ青な顔をしている。

「どうしたの?何かあった?」

「あ、足が…。」

「足がどうしたの?」

何気なく足の方を見た時私は悲鳴をあげた。

足元には両目が真っ黒に落ち窪んだ髪の長い女性がいたのだ。上半身だけが見えている。

車は走っているので悲鳴をあげるしかない。



その後、この子たちはどうなったのか…。


誰も知らない。


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