表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

プロローグ

まだ寒いですね。

暇だ。


久々の土日連休。

嬉しいのは金曜日の退社前と二度寝できる喜びとともに昼過ぎまで惰眠を貪る土曜13時まで。

寝すぎて頭が痛い、腹も減ってるが備蓄のカップ麺も切らしている。


顔を洗ってたまには散歩でもするか!

と思ったのは5秒前の自分で、今の自分にその気はもうない。


こうなるとやることはPCデスクの前に座ってネットサーフィン。

動画サイトを見て、ソーシャルゲームのログインボーナスを貰い、SNSの誰かの呟きを眺める。

波のように流れるつぶやきの中のある広告が目に止まる。

「リアライズファンタジー」

この退屈な休日の暇つぶしにはもってこいだ。


ゲーム形態はいま話題のVRMMO、HPを見るに西洋風ファンタジーものっぽいな。

世界観やキャラクター説明の項目があるが、読むのがめんどくさい。

・・・新規キャラクター作成、名前は「ああああ」でいいか、どうせ飽きるだろうし。

性別や種族はゲーム起動後に決めるようだ。

VRをセットして、ゲーム起動。




キィイーーーーーーーーーーーーン

甲高い音が響く。

あまりにひどい耳鳴り、自分が椅子から転げ落ちているであろうことは体に伝わる衝撃でわかった。

人は音だけで死ねるのでは?と思うほどの感覚、頭が揺れる、気づけば目の前のモニターも真っ暗だ。

あっ、これやばいこのままだとホントに不味いやばいやばいやばいy。



プツッ












そよそよと風の音が聞こえ、季節は初夏だろうか虫の鳴き声が心地いい。

「んん~」

大きく伸びをするとそこは見事な大草原、青い空と雲のコントラストが美しい、少し先には立派な城壁も見える。

なんてことないよくあるゲームの一コマ、先ほどの死を覚悟した状態とはうってかわって平和そのもの。


なんだったんだいったい、まったく。



『新規キャラクターの生成を確認。続けて詳細の決定に移ります。』


機械音のような女性の声が響く。

そういえば種族等はゲーム起動後に決めるんだった。

ん~、適当でいいか、パパッと決めて早くプレイしたいし、

〈ランダム決定〉ボタンなるものがあるからこれにまかせよう。



『キャラクターの詳細を決定、実行します。』




魔法少女の変身シーンよろしく、自身が光に包まれ、この世界に「ああああ」が生まれた。

ステータスを見たいと念じると脳内に直接視覚したように現れる。


名前:ああああ

種族:■■■

性別:■■■

体力:10+変動

魔力:10+変動

俊敏:10+変動

力 :10+変動

防御:10+変動

知識:10+変動

運 :50+変動



バグってんじゃねーか、βテスト期間になにしてたんだ運営は。

性別くらい確定させてくれよ。




『キャラクター生成終了。キャラクターの死亡はゲーム終了となりますのでご注意下さい。』



あまりに当たり前の事を言って機械音アナウンスは終わる。

さて、よくあるMMOだと最寄りの城に行けばチュートリアルが始まるだろう。

舗装はされていないものの城壁へ一直線に伸びる道を歩く。



そろそろあなたは気づくだろう、普段歩くために備わる足がないことに。

さらにあなたは気づくだろう、上体のバランスを取る両手がついていないことに。

そしてあなたは思うだろう、目の前に広がる景色、風、音、体中に伝わる五感すべてがゲームの域を超えていることに。


はて?ずいぶんすごいなこのゲーム

やっぱり一旦セーブして、カップ麺でも買いに行こう。

さっきステータスは脳内で開けたから似たようなもんだろう、セーブ。

・・・セーブ。


・・・ログアウト。




・・・シャットアウト?







これは弱ったな。

ふと、先ほどの機械音アナウンスを思い出す。



『キャラクター生成終了。キャラクターの死亡はゲーム終了となりますのでご注意下さい。』





当たり前の注意喚起、もはや必要ないレベルのお知らせ。






いや、まさかね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ