スノーモービル
今回の訪国は、ルカと、初めて国を出たエルとシンの三人。
通訳としてレイが案内してくれている。
本当なら今回も、国外に出ることの多いルカが一人で来るはずだったのだけど。
エルが付いていくことになって、シンも一緒に同行する形になった。
隣のモービルに乗るルカさんは、あご髭の似合う、くせ毛の強い、なんというか大人の色気のある人で。
かっこいい人なのに、結婚はしていない。国外に出ることが多いからなのかな?何か国語かを話すことができるから、閉鎖的と言われる私たちの国でも国外に出る機会が多い人なのだけど。
普通の人とは少し違う雰囲気がある。少し近寄り難いというか。
それに比べて隣のシンは、身長はルカさんと同じくらい高いけど、顔は…普通。色気はない。
短髪で真っすぐな髪。黒目がちな目をしてるせいか、一見優しそうに見える。近寄り難さはないし、犬猫子供に好かれるタイプ。
「っなんだよ!?」
轟音のエンジン音にかき消されないような大きい声でシンが聞いた。
顔をじろじろ見すぎた。
「なんでも!ない!」
エンジン音に消されないように大きな声で答えた。
「そ!」
私は、二人より背も小さく、どちらかといえば小柄。体に肉がつかないように気をつけてる。
髪はベリーショート。一見女には見えない。と思う。
モービルに揺られてお尻が痛くなりながらも、街についたようだった。
豪快なエンジン音も止まった。
モービルを降りると、レイが「ここからは徒歩で行きます。」と言った。日が暮れてからはモービルは街の中まで入れないことになっていると聞いて、それはたしかにあの轟音じゃあ、と納得した。