夜中、山の中で目撃された、得体のしれない者
夜中、車である山道を走っていた時のこと。
豪雨で数メートル先が見えない状態で、
転落の恐怖を感じながら徐行を続けていた。
その後、雨がパラパラと弱まったので、
また豪雨になる前に、急いで山道を抜けることにした。
しばらくすると、向こうの方に、ワンピースのような服を着た人が、
独りでいるのが見えた。
夜中、山の中で、人が歩いているのはおかしいと思ったが、
怖かったので無視することにした。
すると、その人は、こちらに向かって両手を挙げて手足をくねくねさせてきた。
その動きは、人間の動きではなかったので、すぐにスピードを上げた。
そして、その異様な存在を通り過ぎ、安心した瞬間、車は衝撃を受けた。
急にタイヤが空回りし、身動きが取れなくなってしまった。
急いで懐中電灯を取って外に出て車の様子を見ると、
くねくねした手が、闇の向こうからこちらまで伸び、車を押さえていた。
こんなのを見ているようだと、さっきの時点で取り憑かれたかもしれない。
彼は、すぐに車を捨て山道を走った。
そして、走りながら懐中電灯で向こうを照らすと、山側へのカーブが見えた。
しかし、カーブを曲がると目の前に道は無く、それは谷へ崩落していた。