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書きなぐったもの

餓鬼がひとり、駅のホームで通過を待つ。

作者: ごこちゃん

駅のホームで電車を待つとき、僕は必ず一番前に立つ。

一番、電車が通過した時の風を感じられるからだ。

一瞬ではあるが、電車に轢かれるかのような、そんな感覚を味わえる。


僕は日常で"死"を経験したいのだ。

もちろん、心の底から死にたいとは思っていないが。


初めに死を連想したのは、小学生の頃。

工事現場で2メートル強の高さから落ちた時、なんとも言えない"死"の感覚を味わった。

ただその時は打撲が痛くてそれどころではなかったが。


ともかく、僕はその"死"というものを探し始めた。


家の屋根から飛び降りたり。

彫刻刀で指を切りつけたり。

睡眠薬を大量に飲んだり。


ただ、中高生の頃にこんなことをやっていれば両親や兄弟、親族が異変に気づく。

僕はそれなりにいい子ではあったので、彼らに心配をかけたくなかった。


そしてついに心配をかけずにたどり着いたものが電車だ。


僕は大学に行くため、2回電車を乗り換える。

つまり往復で4回、あの感覚を味わえるわけだ。


あのふわっとした感覚がたまらない。

そのあとに来る電流がたまらない。




通過なのに、ホームギリギリで待っている方を見かけても声をかけないでください。

僕のこの感覚を邪魔しないでください。

よろしくお願いします。

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