04
「しかし、ココアさん本当に動物嫌いなのね」という彼女の言葉を遮り、ココアの目は少女の体の特異に気づきます。
腕から指先、ショートパンツから覗く膝から下。
その肌の色は、小麦色から見事な紫色になっていました。
ふわふわと足元まである長いパーマの髪も、毛先に向かってピンクから紫に代わるグラデーション。
ココアを睨むように見つめる瞳も濃い紫色でした。
そして、彼はあまり直視したくない猫も紫色というのは、この国ではまずあり得ない生物の配色。
「……これは、すごいな」
そして緑と赤を基調としたワンピース、ベルトはブドウの木の蔓を模したもの、ブーツはヤギの皮か。
イヤリングはブドウの房を模した石が輝いています。
体勢を小さい身長に合わせまじまじと見つめるココアに、少女は嫌そうに顔を歪めます。
「てっ!」
ココアの皮靴を思いっきり踏みつけると、猫のように唸り声を上げました。
「気を付けてね。この子、うちの国境警備員8人に噛みついたのよ」
聞いたココアはとっさに彼女の行動できる範囲から後退しました。
「国境、ですか?」
「そう。今朝、国境の扉叩いてたの。泥まみれ傷だらけでね」
彼女の体にはところどころ服の破れやキズテープが張ってありました。
「保護したはいいものの、言葉は通じないし、この子の国の人と連絡が取りたいんだけど手がかりがなくて」
リンは困ったように笑います。
「王室の外交担当はダメだったの。だから、ココアさんなら何とかなるかなって」