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「さて、一週間後に控えた館内一斉ネズミ駆除大作戦について今回意見を貰いたく皆に集まってもらったわけだが」
館長は艶のいい机に新聞を叩きつけ、形の良い眉を跳ね上げます。
「その前に、ココア。お前には説明責任があるよな?」
すっと、会議室に集まった人々の顔がココアに集中します。
「何故、公衆の面前で女王立図書館特殊図書研究管理班収集係が裸振り乱してムチで男をいじめている写真が新聞に出回った?」
あっ。
ココアは保護施設にピヨーネを送った後、疲れてそのまま家に戻ったことを思い出します。
新聞屋に口止め忘れてた。
「カッコイイ写真じゃないですか。いい感じに風が吹いて、振り返りざまのココアさんにピントが合って、映画の一場面みたいですよ。遠近法で身長小さいのわからないし」
フォーローするチューズはのほほんと感心しますが、ぐさりとココアに突き刺さります。
「乳首映ってるぞ。露出狂だの人の事言えたことじゃねーだろ」
昨日のやり返しのごとく、シンヤは目を細めて鼻で笑います。
「人違いじゃないですか?新聞屋さんおっちょこちょいなところあるから」
バチン。
軽快な音が、会議室にいたすべての者の背中が伸びます。
館長は見覚えのあるキラキラのムチを手に、ムチをお互いに重ねて微笑みます。
「なお、証拠は固めてある」
えっいつの間に?
部屋に何気なく置いたはずの戦利品が、今朝まで机の上にあったはずのそれが。
なぜか今、不敵に微笑んだ最高上司の手にあることに彼は凍りつきました。
「……すみませんでした」
これには流石にしらばっくれることはできません。