24
「ピヨーネ!!」
ココアは足でピヨーネの体を蹴飛ばすと、ピヨーネがいたそこに大きな斧が地面をかち割ります。
大きく振り、今度はココアへ。
ココアも、手を地面につき、転がって切っ先から逃れます。
手をどかすと、ココアの右目は紫色の青たんになっていました。
「あなたは、どちら様ですか?」
泥だらけのシャツそのままに、ココアはスキンヘッドの男に聞きます。
「今の二つはわざと外した」
しかし、男はココアの言葉にこたえる気は無いようです。
「大人しくガキと金を寄越せ」
いつからこんな物騒な国になったんだろう。
ココアは地面に転びながら悲しく思います。
「金はさっき取られてしまってもうないです」
「嘘をつけ」
その目はまるで確信を持っているようでした。
嘘ついても無駄。
「……はい、嘘です」
ココアは上体を起こし、艶のいい皮細工の二つ折り財布を出します。
「ですが、その子は堪忍してください」
中身を確認するふりをして、図書カードだけはシャツの袖の下に隠しました。
「その子は体が紫色になって死んでしまう伝染病を患っていまして」
しかし、その一瞬で二つ折り財布も奪われてしまいます。
「まあまあだな」
目を細め、そしてピヨーネに近づきます。
「来い」
ピヨーネの長く伸びた紫の髪を乱暴に掴み、引っ張ります。
『いやあああああ!!』
ピヨーネは太い腕に噛みつきますが、頭を殴られて地面に膝を落とします。
「ピヨーネ!!」