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路地裏に入り、ごみの裏に隠れて追手がどこかに消えるのを隙間から追います。


『行ったね』


『あのハゲ、夕日に照らされて光ってる』


息を荒しながら能天気な事を言っているピヨーネに、ココアはため息つきました。


『……君は怖いオジサン相手に何をしたの?』


ピヨーネはそっぽを向きます。


『あたしが可愛いからじゃないの?向こうが勝手に追っかけてるの。ストーカーよ』


『男をたぶらかすのもいい加減にしなさい』


『大体、あんな怪しい男を国に入れるなんてこの国は大丈夫なの?』


充分怪しい君も、この国に入ってるけどね。


ココアは言葉を飲み込みました。



とはいえ、ピヨーネはけが人の幼子。


向こうは大の大人で見るからにガラが悪い。


犯罪歴とかあれば、国境で弾かれたり行動に規制がかかりそうなものだけど。


それにしても、これだけマラソンをしたにもかかわらず町に歩いているはずの警備兵が見えない。



「お兄さん」


呼ばれて振り向くと、路地裏の奥から3人の少年が刃物を振り回しながらこちらにやってきます。



「っていうかお姉さん?どっちでもいいけど、お金持ってない?僕たち、寄付が欲しくてさー」


『国家公務員』


目が血走り、常識が通じなさそうな相手にピヨーネはおびえます。



「……申し訳ないんだけど、僕、今日退院したばっかりでお金無い」


と、言葉の途中で刃物を首元に突き付けます。


「知らないよ。墓石代出したくなかったらさっさと金出せよ」


「……」


ココアは観念したようにGパンのぽけっとから黒いがまぐち財布を出し、それを手渡します。


『ちょっと、あんた馬鹿じゃないの?』


中を確認した男は舌打ちします。


「カスみたいな中身だな」


「生死彷徨ったからね。貴重なの食費取られてお蔭でまた地獄が見れるよ」


視線をピヨーネに向けます。


「言っとくけど、その子は伝染病でね。体の末端が汚染され、そのうち全身が紫色になって死ぬ。空気感染した例もあるから近づかない方が賢明だよ」


いい具合にぜいぜい言っているピヨーネから彼らは二、三歩距離を取ります。

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