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「で?この子はこの国に来た理由は話したのか?」
ココアは真顔に戻し、腑に落ちない様子で答えます。
「図書館を見に来たと言ってます」
ほう、と意外そうに館長は口を開きます。
「正式な手続きも踏まずに、国交のない国へ、このガキが一人で?」
「ええ。ただ、確実にこの国を知っていて、さらに僕のカードの色の意味まで知っていました」
おやおやおや。
それを聞き、くすくすと面白そうです。
「それは面白いな。遠国のガキまで知れ渡るほどに図書館の知名度が上がったと素直に喜ぶべきか」
ふふっ、館長はピヨーネに視線を向けず楽しげに笑います。
「……はたまた、あまりに小さなハニートラップか」
「それは趣味が悪いにもほどがありますね」
横にいるピヨーネが言葉を理解している様子はありません。