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「最近、どこに行っても主の顔を見るよなぁ。手配書の数がエグイ」
「だなぁ。最近赴任してきた保安官がちょっとヤバい奴っぽいよな」
宿の下の食堂で、若い狼獣人の男たちが、昼近くになって朝の食事を取っている。
「ていうかさ、姐さんの手配書が凄い値段で売られてるって知ってる?」
そこへ、マントをつけたそばかす顔の若い獣人の女が、パンとスープと骨肉の皿を乗せたトレーを持って席についた。
「貼った端から剝がされて持ってかれるっていうじゃん」
席についてる皆が、あぁ~、と納得の声を上げる。
「ほらっ。じゃじゃーん」
後ろからやってきた、太い三つ編みを前に垂らした女が、まるで女神像のような絵の描かれた手配書を胸元から引っ張り出して皆に見せる。
「うぉっ! どうしたんだよ、これ。テルマ、お前、取って来たの?」
テルマと呼ばれたその女は、得意げに鼻の下をこすった。
「皆が寝てる間に町に降りて、役人が貼ってるのをくすねて来た」
皆が、テーブルに広げられたその手配書の絵に見入る。
「なんだよ、こりゃ。もう芸術品じゃんか」
「ホントだよな。主の手配書なんて人相悪すぎて似ても似つかねえのに。はー、姐さん美しいよな。俺、姐さんの為なら死ねるわ」
「わかるわー。同じ女としても、姐さんはマジで女神。あんなに綺麗で人情深くて強い女は今世にいないっしょ」
「俺も、姐さんとお近づきになりたくて必死で山の訓練に勝ち残って『黒牙の群れ』に置いてもらってるからな」
テーブルに着く皆が、ウンウンと同意する。
「主の傍で同じ目線で立っていられるのは、姐さんだけだから」
再び、皆が、ウンウンと同意する。
「そう言えば、主と姐さんは? まだ、起きてないの? 飯は?」
最初に席についた女がそう男たちに聞く。
「ロイドたちは、昨日の戦利品を教会に届けに行ったよ。おまえら。いくら昨日の捕り物がデカかったからって、のんびりしすぎだ」
奥のテーブルで食事をしている毛に白いものが混じり始めた、壮年の獣人が呆れたようにそれに答えた。
それを聞き、向かいに座る片目を傷でふさがれた、同じ年配の灰色狼の獣人が笑いながら声をかける。
「グルド、俺らも今、飯終わったばっかだよ。捕り物の翌日は、のんびりするのが俺らの暗黙の了解だからよ。とはいえ、明日に備えて武器の手入れはしとけよ、お前ら」
若者たちは、間延びしたような返事をして、目の前の食事を平らげていく。
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