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[#11-ティヒナ・プラズニルという性愛]

[#11-ティヒナ・プラズニルという性愛]


ヒナは小学生の時から、一目置かれた存在だった。

才女。

まさにこの言葉が適格な女の子。運動も出来れば、学力もトップクラス。それに顔面も良いし、性格も良し。男女問わず、好かれるのには十分なセンテンスを含んだ逸材。

⋯もう、割り切ったから、自分でもこう思える。

さすがのさすがに、言われ過ぎた。

ここまで褒められてしまうと、耐性が出来てしまい、相当な事を言われないと心に染みないようになってしまった。それ故に、ヒナがさっき述べた“才女”を謳う言葉達は全てが、感情ゼロ。

無表情で放った。


中学校、高校⋯。


どうせその時々で、ヒナはそう言われる時代を過ごすんだ。別にそれが悪い気はしない。ただ、心地良いものでも無かった。普通、女の子が『可愛い』だの言われたら嬉しいものだと思うじゃん?


────

ヒナはもうその次元をとうに超えている。

────


ヒナの脳内にはイメージされない言葉群でヒナを褒めてくれたら、少しは尖った感情、消えるかも。


聞き慣れた言葉にはもう飽きた。どうせなら、知らない言葉でヒナを埋め尽くしてほしい。


「──────────」

「──────────」

「──────────」

「───────────」

「──────────」


おんなじ。

ぜんぶおんなじ。

あれ、、?ちょっと違う言い表し方出て来たかな⋯?って思ったら、ぜんぶ聞くとつまんない。⋯⋯そっか、ヒナの知らない言葉を他人が発してても、『面白い』と『つまらない』があるんだ。知らない言葉はぜんぶ『面白いもの』と勝手に決めつけていたよ。


⋯⋯まだ、17歳だっていうのに、変な考え方だよね。それに、ヒナの方がつまらない。こんな女なのに何で周りを見渡せば、人に溢れた環境に居させてもらえるのかな。

こうしてみると、“世界はヒナを見捨てない”というのが判る。

世界が、どうもヒナを好きでいるらしい。とうとう星にまで好意的な意識を向けられたんだよ、ヒナ。



亜流な思考のまま、時は流れる。時代は逆らってもらえないが、ヒナはいつだって時代との逆行で頭がいっぱいいっぱい。時代を相手にするって大変だな⋯。


カーマ・ノドンス高等学園。

ヒナが本学園への進学を希望したのは⋯⋯特に無い。

『家が近いから』⋯との理由が一番適している回答⋯かも。

⋯⋯⋯⋯いやいや、嘘よ。さすがにジョークじょー、、く⋯⋯。


⋯⋯よくよーく考えてみても、ヒナ、どうしてここに入学しよって決めたのかな。あんまり深く考えてない。


まっ、んな事どうでもいいのよどうでもいいの。

カーマ・ノドンス高等学園に律歴4453年4月6日、入学。これまで通りにヒナはその場その場に応じ態度をみんなに見せた結果、現在のヒナを囲う状態が完成。


んでね、そこでヒナは色んな人から告白を受けたわけ。これも、小学中学⋯とこれまでにあった流れ。もはや通過儀礼通り越して、ルーティンみたいな感じよ。これが無きゃ始まらないでしょー!新しい時代ィい!⋯⋯みたいな?

何人からの告白の嵐が始まらない限り、カーマ・ノドンス高等学園での学生生活は始まっていないのも同然!

それでね、ヒナのポリシーとしては告白を拒否するのってあんまりしたくなかったの。


そう、したくなかった。

て事は、今は考えが結構変わって、『あ、ちゃんと男の人は性格とか前もってわかった上で付き合わなきゃな⋯』って思ってる。


男子との繋がり。ヒナは嫌いじゃない。なんなら好きだったと思う。同性との会話じゃ、絶対に起こりえない事が起きるからね。単純にヒナは“ビッチ”として男子の中で噂になってたと思う。⋯⋯いや、なんかそんなような噂を女子友達から聞いた。

ヒナからしてみればそんなの『勝手に吹いとけ吹いとけ〜』ってサラぁっと受け流したいんだけど、如何せんヒナを慕ってくれる友達は、本気で心配してくれた。


『ティヒナ、相手はしっかり選んだ方がいいよ』


数多の言葉が一人一人の友達によって投げられ、要約すると主には上記の言葉に集められるはずだよ。


『でもさ、せっかくヒナを選んでくれたんだから、その人の想いに答えてあげたいの』

『後で後悔するよ?そんな簡単に相手を選んでるようじゃ』

『だいじょぶだいじょぶー。ヒナ、強いから』


振り返ってみると、回り回って言葉を選んでいたんだなぁと回想する。

『その人を裏切りたくない⋯』というのは本当だ。そこに嘘は無い。これがヒナの正義だと思ってるし、女として最高のあり方だとも思う。だけどそれに追加してヒナはなるべく多くの男子とセックスがしたかったんだ。セックスが、コミュニケーションの中でも最上位に位置するツールだから。誰でも彼でもヒナはそれで良かったんだよね⋯あの時までは。

男子の周りでは案の定、ヒナの噂が絶えなかった。

『ヤリマン』だとかは絶対言われてたと思う。直接男子からそんなような事は聞いた覚えはない。みんな、ヒナの事を気遣ってくれてる。それ以前に、ヒナに見惚れてるんだ。その言葉がヒナを傷付ける言葉に値する⋯と思っているからね。


高校二年生の秋まで。そんな日々が続いていた。中学一年の時から、性愛に満ちた生活を送っていたけど、ある一人の“男”との出会いによって、ヒナは今までの行動全てを悔いる事になるんだ。


律歴4554年8月28日──。

何人目、なのかな。ノルヴァーンはヒナが付き合った最後の男。あ、イゾラスを除いてね。ノルヴァーンは中学生の時から、ヒナを知っていたんだって。ヒナがSNSをやってて、それをフォローして、逐一ヒナの投稿に注目してくれていたり⋯とただのファンだったんだ。そんなヒナのファンと偶然、同じ高校になった。ヒナはもちろん、ノルヴァーンの事は知らない。

ノルヴァーンはヒナの事が相当好きだったみたいで、高一の頃からずっとヒナと対峙出来る日を心待ちにしていたんだって。

そう、ノルヴァーンはそこまでお人好し⋯と言える男では無かった。ヒナの事が好きで、同じ学園に居る…というのに、一年間もヒナへの接触を果たす事が出来なかったんだ。

ノルヴァーンはヒナと初めて会った時にこう言っていた。


『やっと、会えた…』


正直、ちょっと薄気味悪かったかな。今思えば、最初の雰囲気で後々の事は予測出来ていたんじゃないか…と思い、自省の念が止まらない。


ファーストインパクトはそれ。『正直薄気味悪い』…。それだけど、ヒナは彼からの告白を了承した。これはノルヴァーンに限らず、ほぼほぼの男子からの告白を断った事が無かったので、今回も断る理由がそこまで固まっていないのが理由に上げられる。それに加えて、薄気味悪いのも初めてでは無かった。

現在まで登園しているカーマ・ノドンス高等学園以前にも、中学生の時は変な男子なんていっぱいいたし、一癖も二癖もありまくるキャラ強めの男子なんていっぱい経験してきた。それでも、ヒナを愛してくれることには変わり無かったし、みんながみんな個性を発揮してヒナを全力で楽しませようとしていたから、悪い気はしなかったんだ。

中にはいたよ?ヒナが気を使って男子とのコミュニケーションを始めた男もね。でもそれはそれで、『この人のリズムもあるからなぁ』も割り切っていた。


───────────

ヒナ、優しくないよ?

───────────

別に普通だと思っている。

皆やってんじゃないの?

こんなんじゃないの?…と思っていたが、ヒナを慕ってくれていた歴代の友達は、中々共感してくれない。


いいじゃん別に。色んな男子の事を知れるし、男子の特性とかさ、アッチの方とか、沢山の恋愛経験詰めるなんて、良い機会だと思わない?未成年なんだから、未成年なりに恋愛も楽しみたいんだ。


ヒナは可愛い。それは出会ってきた人間ほぼ全てから投げられる言葉。まるで『おはよう』や『ありがとう』等といった対人関係を紡ぐ際に使う言葉と同等の意味を成しているかのように。ヒナにとって、『可愛い』っていうのは最早“挨拶”みたいなもの。

言われて当然。


ノルヴァーンだけが特別じゃない。


そう思っていたのに…。


ヒナは、彼からの“暴力”によって、初めて男を恐怖の対象として見るようになった。

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