コミュ障VS学校?白旗あげるというか棄権するよね
あれから数日が経ち、逃げようにも逃げたら迷惑かけると考えると逃げられず、ついに私は編入の日を迎えてしまった。
お世話になった街の人達にちゃんと……ちゃん、と……?……とりあえず挨拶をしてから出てきた。フューズさんとかマリーさんとか、皆のキラキラした視線が眩しすぎて本当に死ぬかと思った。コミュ障とは注目を浴びるだけで軽く死ねる生き物なのである。
しかし逃げられない以上は仕方がない。私は頑張って上手くやっていく処世術を身につけるべく努力を開始した。
例えばまず最初に、素の私が陰キャコミュ障ならそうじゃない仮面を被り、私ではない人格が話してることにすればいい理論を試そうとした。
ちなみにこれは一人の時は上手くいったけど、試しにと外に出てみて一瞬で瓦解したのでやめた。無理。
次に私はいっそ喋れない設定にして筆談にしようかと考えついた。
でもよくよく考えれば筆談にしてしばらく経って、普通に喋れ……普通ではないにしろ言葉を発している様子を見られれば「え、アイツ喋れるのに筆談してるの?」「コミュ障なんじゃない?会話とか無理だったりw」「うわ~、そんな人いるんだぁw」とかの会話をされている妄想をしてしまいまた死にそうになったのでやめた。そんな会話聞いたら私は立ち直れないどころか自殺してしまう。
ちなみに《叡知》さんにコミュ障対策はなかった。この世界、コミュ障がいないのかな?地獄じゃん。
まぁとにかく考え続けてたどり着いた結論は……
喋らない、である。
……いやまぁ、めっちゃくちゃどうしようもない結論に至ってることは否定しないよ?
でもさ、会話ができないならいっそ喋らない無口キャラの方がよくない?人間ってジェスチャーでも意思疎通はできるんだよ?
考え続けた結果私の頭はちょっとばかしおかしくなったらしい。でも無策で突っ込んだらもしかしたら謎の化学反応でなんとかなる未来があるかもしれない。
そう思っていた時期が私にもありました。
「ぁ……はじ……ネ……す……ょろ……がぃ……ます……」
当然のごとくコミュ障が発動したぜぇ、ヒャッハー!
……いやヒャッハー!じゃねぇよ!駄目じゃん!「初めましてネガです。よろしくお願いします」と言おうとしたのが声ちっさすぎて謎の文字の羅列になったわ!
「えぇと……というわけでネガさんです。ネガさんはあの伝説の【幻帝】を倒したことで冒険者ギルド全体からの推薦を受けて特別に編入が決まった天才です」
そう先生の人が言い放った瞬間周囲がざわめいた。心なしか……というより確実に視線が集まっている。
……これはアレだ。小学校の時、書道でなんか凄めの賞を取ってしまって注目された時の感覚に似ている。「え、あの子が?」「ちょっと信じられない……」みたいな疑惑と好奇の視線だ。気持ち悪くなってきた……
てかほんとに皆の前で表彰するのはなんなんだろうね。そりゃあ承認欲求モンスターと言わんばかりのクソ陽キャ達は嬉しいでしょうよ。でも私みたいなクソ陰キャに関しては苦痛でしかない。
仮にだけど……陽キャなA君と陰キャなB君の2人がいたとする。
まず、A君がそこそこ凄い賞を皆の前で表彰される。すると周りはどうだろう?「マジかよAすげー!」「うわ天才かよ!」とかもてはやされるだろう。さぞ承認欲求は満たされるだろうね。
では次に、A君の次にB君がA君よりも凄い賞を表彰されたとする。それも、当然皆の前で。
するとどうだろうか、凄さのレベルではB君の方が確実に凄いはずなのに彼らはB君を賞賛しないのだ。
A君より努力を重ね、凄い賞を手に入れたB君。しかし彼は賞賛されることがなく、実績では勝っていても惨めな思いをすることになる。あぁなんと理不尽な事だろうか。
しかしクソ教師共はそれでも人前での賞賛をやめないだろう。だって世の中の割合的には賞賛を求める承認欲求モンスターの方が多いのだから。
小さな私達の意見など黙殺される。平和な方法があっても世の中の意見を尊重する。私はそれが大っ嫌いだ。
ちなみにこれは私の実体験である。マジで2度と賞なんて取ってやるかと思って没個性に励む事となった嫌な思い出が蘇って仕方がない。
私は機械的に動いて自席に座る。居心地の悪い視線はなくならなかった……本当に全員の目ん玉くり抜いてやろうかな、やらないけどね?
しかしこうも大々的に注目された以上は休み時間とかに入れば人に囲まれる事だろう……え、私、死ぬ?
そのまま授業が始まったけどまぁどうせあとで《叡知》を使えば余裕で履修できる。私は注目を浴びた恨みを僅かに晴らすべく担任のバラされたくない秘密を探り始めた。いつかこのネタで強請って私の注目度を下げてやる……!うん、私ロクでもないな?ほんとすみません……やめないけどね。
ちょっと遅れましたが学園編スタートです!
のんびりと書いていくのでよろしくお願いします




