あーっ、終わった!
峰打ちを決めたのは本体だったので、問題なく戦いは終わった。
しかしその後、私は死亡宣告を受けた病人のような顔をして死にかけていた。
話は戦いの直後まで遡る──
戦いが終わり、間違いなく本体を倒したと確信した私は《幻霧》を解いて元通りの風景に戻した。
そうなると必然、倒れたアランさんと無傷な私という状態になるわけで。
「マジかよ……」
「これは……驚きですね」
フューズさんとマリーさんが呆気にとられたような顔でこちらを見ていた。
……冷静になって考えるとアランさんを倒したのはマズかったのでは?
確かに殺してはいない。当然だけど。でもアランさんはたぶんだけどかなり力を持つ強者なわけで、あくまでも私の力を測ろうとしただけで。
でも私はダメージを負いたくなかったし、なにより手抜きをしようものなら不敬罪で処される可能性とかも考慮していたので普通に《叡知》に頼って勝利してしまった。
いくら【幻帝】に勝ったとしても、さすがにこれはやりすぎじゃん……
「おいアラン、起きろ」
フューズさんが殴って起こすというおおよそ人を起こすには使用しない起こし方で起こしてる間に、私はなんとか言い逃れする方法を考えていた。
……まぐれ?まぐれで勝てる相手かわかんない……
あっちが手抜き?ありえなくはないけど手抜き前提でも勝ってるのはおかしいよなぁ……
うーん……思いつかない……私の脳が残念すぎる……
私がうんうんうなっている間にアランさんは目を覚ましたらしい。イケメンフェイスが殴られて若干ボコボコしてるのに笑いそうだった。抑えたけど。
「いや……強いね。まさかこの僕が一撃も与えられず沈められるとは……虚偽でもなんでもなく、君は【幻帝】を倒している。その歳でそこまでやれる人はいないだろうね」
そっすか……そんなことより気まずいんで帰してください。
「じゃあフューズに頼まれた通りにしようか」
「おう、任せたぞ。強いとは言ってもコイツはガキだしな」
……頼まれたとおり?
めちゃくちゃ嫌な予感がする。正確には私のアホ毛が震えるくらいに。こういう時はたいていロクでもないことが起こるんだ。
「ネガくん、君を──ファウストの魔術学園に編入させよう」
そして今に至る。
がく……えん……?
学園というのは、まぁ要するにほぼ学校である。
そして学校というものは……
まず、社会に適応させるためとか言って集団行動を強制して孤立する者を生み出したりする。そして「皆仲良くしましょうね!」とか言う割に孤立してる人をなんとかする気とかは全くない金で雇われた国家の犬が管理してる。
そして可能性を伸ばすためとか言って絶対に将来使わないような無駄な授業を受けさせたりしている。たちが悪いのは100%将来の役に立たないと確信していることでも低い成績を取れば教師共に注意されて進級できないと脅されたり、親がいれば「何故こんな成績を取るのか」とぐちぐち言われたりすることである。
さらにわざわざいろんな事をランキング形式にして競争心を煽らせたりする事によってヒエラルキーを生み出すことに長けているクソ制度まで存在している。
一言でまとめればまぁ──地獄を顕現させたような場所って事だ。
そんな阿鼻叫喚のな上トラウマがフラッシュバックするような地獄に私が通う、だと……?
「学園は全寮制だからね、今の君みたいに宿を借りなくとも生活できるし」
不必要です。私は普通に暮らせてるんで。
「魔術……魔力の扱いにもさらなる向上が見込める」
いやあの、私には《叡知》様大先生ついてるんで……
あと心底どうでもいいが、魔術というのは魔力の扱いの事を指す。魔を操る術で魔術だ。断じていろんな色と属性の攻撃がドッカンドッカンしたりはしない。
「編入ともなればまぁ多少厄介な事もあるだろうが……【幻帝】殺しにして僕にも勝ったという実績のある君ならすぐに馴染んで友人もできるだろう」
はぁ!?一番異議があるぞそれは。コミュ障を舐めるな、多少の注目を浴びても会話ができないどころか不特定多数に話しかけられるだけでパンクして死ぬぞ。クソ雑魚コミュ力の私が馴染むどころか友人ができる?嘘を吐くな嘘を!
「君のような有能な者が入るとなればいい刺激にもなるだろうしね、来てくれるかい?」
絶対無理!
……と、言いたいけどイケメンフェイスの圧には勝てず
「ひゃい……」
反射的に返事をしてしまい、私の地獄生活が始まることは確定したのだった。
さらに2年生の途中から編入で、9年まであることを知り私は無事に希望の華となって「止まるんじゃねぇぞ……」して散った。どこからか「やってみせろよ」も聞こえた気がしたけど私には無理……
序章部分はこれで完結となります!
連日が結構キツいので月曜日まではストック貯めてその後投稿再開の予定です
学園ともなればコミュ障の地獄のようなとこですしね!もっと死にかけるネガちゃんが見れると思います
では月曜日にお会いしましょう!




