引き籠もりは最強!お金さえかからなければね……
「ク、クク、なるほど。スピードオークを含むオーク10体ですら単騎で全滅。しかもノーダメージか。」
「凄いとは思ってたけど……ネガちゃん、凄いなぁ……」
私はギルドにて前世を含めても五指に入りかねない苦行を味わっていた。
全く『紅の四剣』さん達を忘れて戦闘をしていた私はその後……
「アナタ、凄いわね……なんでDランクなの?B……どころかAすらありえるじゃない。しかもその年で……」
「……俺もこの数年で1番驚いたぞ。全く…どうすればそんなに強くなれるんだか。」
「不甲斐なくも気絶してた俺には信じられないけど……嘘はついてないんだろうし、凄いな!俺の目標だよ……」
「ぁ……ぁ……」
不可抗力ですとか能力頼みなので実際は能力強いだけのクソ雑魚ですとか目標にされたら困りますとか、そして何よりも今見たことは忘れてほしいとかを私は言わなきゃいけなかった。
しかし……テンパったコミュ障にそんなことが言えるわけもなく私はあわあわしながら「ぁ……ぁ……」とか細く声を漏らすしかできなかった。今ほどコミュ力がないことを悔やんだ事は……少なくともこの世界に来てからは初めてだった。
そして意気揚々と帰っていく彼らの後ろを追いかけつつ話さなきゃ、口止めしなきゃとカラッカラの勇気を補充しようとしているうちに気がついたらギルドに着き、早々に鎧の野郎は言いやがったのだ。
「ネガさんが凄かったんですよ!1人でスピードオークをも含む10体のオークを倒しきったんです!無傷で!」
「!?!?!?!?」
ギルド中に聞こえるような大きな声だった。小中学校の体育祭ならまだしもこの世界でそんな大声出してるんじゃない!とか思ったけどそれ以上にギルド中に私の評判が知れ渡ったのが問題だった。視線が集まってめっちゃHPが削られるのがわかる。やめてぇ……まだ紙袋スタイルだし……
「ぇっと、その、」
とりあえず弁解をしようとして……ギルド長とマリーさんが来てしまったのだ。
そして今に至る。
「にしても凄ぇもんだな、ウチのギルドにそんなことができるやつが俺以外にいるか?」
「ヴァイスさんならできなくもないと思いますけど……あ、それよりネガちゃんはなんで紙袋被ってるの?」
「ぅぁ……」
頭がパンクする。いまだに値踏みするような視線や驚嘆・感心の視線、懐疑の視線、そして慌ててる事に対してか微笑ましいような視線……あ、死にそう……無理……
「これならとりあえずBまで上げ……いや、それよりも………」
「ネガちゃん?おーい、大丈夫?」
「…………」
もう、むり。コミュ障には耐えられない。
思考加速と魔力強化を施す。そして私は……
超スピードでギルドから逃げた。
それから2週間が経過した。
私はこれまでの貯蓄を使って引き籠もり生活を送っていた。ある限りのお金で3食付きの部屋を借り、人がはけた時間帯を選んで食事をし、あとは部屋に引き籠もる。素晴らしい……人と関わらなくて済む生活とはなんと素晴らしいんだろう……私の削られた心的HPが癒やされてゆく……
もちろん変な時間にご飯を用意させる事に対する罪悪感はあるんだけど……お金を払ってる以上割り切った。対価は払ってるもんね……
しかし2週間経って問題が起きた。お金がない。
冷静に考えれば当然だった。将来を見越してお金を貯めていたにも関わらず全部使っちゃうとか……しかも何も状況は解決していないとかいう。
とはいえ、まだ宿泊のストックは1週間ある。そのうちに人と関わらずとも稼げる方法を考えねば。この年齢でしっかりできる前提で。
……人によっては「なんで普通に宿暮らしで店員と会話ができてるの?」と聞きたくなるだろう。それは簡単な理屈で、コンビニ店員みたいな機械的な人に対しては最低限の受け答えくらいできるのである。まぁもちろんちょっとキョドるけどね……店主が客は客と割り切る人で助かった。
え?じゃあなんでマリーさんとかギルド長にはビビってたのかって?それはなんかアレだよ……ギルド特有のあの……アットホームな雰囲気?なんか壁を感じにくいと言うかフラットに接してくるというか……それが私はかなり苦手なのだ。「◯◯さんも一緒にどう?」とか爽やかな感じの笑顔で聞いてくる真性の陽キャに似てる。無理。その気遣い、むしろキツいんです……
というかなんで陽キャはあんなに壁を完治させないように誰にでも爽やかに話しかけられるんだろうか……私はいつの日か彼らは実は人間の中でも進化した者達で、陽キャ種に進化できなかった古い人間が陰キャなのではないかと真剣に考えてた時期があったことを思い出した。
まぁ陰キャが悪いとは言わない。陰キャを悪いというのは陰キャを見下してステータスにしてくる系の陽キャモドキとそれに虐められる陰キャだけである。本当の陽キャは陽とか陰とか気にしてこないからね……
そんなことを考えてると今日という日も終わった。タイムリミットが迫っていることに焦るも何故か私はやる気が出なかった。あるあるだよね?
しばらくはこのペースが続きますが、一段落したら数日お休みいただきそうです
あ、しばらくは変わらないので問題ないですよ?




